第136話 進太郎のクリスマス その3

「まあ、仕事から解放されたんだし行くぜ。」

元気に押されて、東京の大使館の別館に行くと庭にはパーティー会場ができていた。

誕生日おめでとう&メリークリスマスという垂れ幕がかかり、クリスマスツリーが

飾られてテーブルには普通の人間用のごちそうが並んでいた。


そして、勇一パパと普通のフリフリドレスを着たメルティ。


サンタガール姿のアニー、メイ、フラン、リーファ。


いつの間にかサンタ姿になっていたゴート66世。


刑、博士、春子、ゆかのイレギュラーズと島の仲間や家族がそろっていた。


そしてみんなが一斉にクラッカーを鳴らし

「誕生日、おめでとう♪そしてメリークリスマス♪」

と祝いの言葉を叫んで進太郎達を出迎えた。


「・・・・・皆、ありがとう。」

進太郎が感動して泣く。


「おめでとう、進ちゃん。」

元気も祝ってくれた。


「主役も来たことじゃし、レッツパーティー♪」

ゴート66世が叫び、宴が始まる。


ソフトドリンクで乾杯し、ケーキをメルティが何やらファンタジックな光る両手剣

で切り分ける。

「・・・・・ママ、それは国の宝剣じゃあ?」

勇一の言葉にメルティが


「皇帝権限で問題なしよ、勇一さん♪」

気にせずケーキを皿に盛って行く。


「・・・・・国宝で切り分けられたケーキ、相変わらずでたらめね。」

ケーキを食いつつ春子が呟く。


「凄いファンキーな国だな、やはり将来は帝国に移住しよう。」

ゆかがつぶやく。


「・・・・・ぼっちで過ごさずに済んだでござる♪」

博士は泣いていた。


刑と元気はごちそうを遠慮なく食べまくっていた。

「普通のパーティーだ、家族や友達とお祝いする。」

進太郎、喜び泣いている。


パーティーは楽しいままにお開きとなった。

「ああ、楽しかった♪」

進太郎が満足していると


「まだ終わらないでちゅよ♪」


「性夜ですよ、性夜♪」


「今夜はパーリナイ。」


「クリスマスイブはカップルが愛を育む日ですわ♪」


アニー達がサンタ服をばっと脱ぎさると、その下はクリスマスカラーのサンバ水着。

「・・・・・・ちょ、またそういうオチか~~~~~っ!!」


お約束通り、聖なる夜のサンバパーティーをメイド達と行った進太郎であった。


そして翌朝のクリスマス本祭、進太郎はというと今度はメイド達により人間界の

パーティー用の正装として、銀色のタキシード姿にコーディネートされた。


「お似合いですわ、旦那様♪」

同行するのは、金龍が描かれた青いチャイナドレス姿のリーファ。


「財閥のパーティーに呼ばれるとは、ここは慣れてるリーファに同行を頼む。」

ぶーぶー言うアニー達の頭を撫でて宥めて、出かける進太郎。


招待主はアメリカで売出し中のヒーロー、ドルフィレアこと剣淵財閥のご令嬢の

剣淵美姫嬢。


大使館の車で運ばれて会場入りする。


現れたパーティーの華、着物姿の剣淵美姫嬢にリーファと一緒に挨拶。

「お会いできて光栄ですわ、特にリーファ様の事はアメリカでもヘルグリム帝国への電撃移籍が話題になっておりました。」

美姫嬢の言葉にリーファが、笑顔になり

「あらあら、ありがとうございます♪」

とお礼を口にしてから会話が弾みだす。


リーファと美姫嬢が、意気投合していたので離れると見かけた他の招待客の中に

えっと驚いた。


「藍若先生と橋野先生は、お世話になっております。」

まずお世話になっている先生方とお会いしたのでご挨拶。


「やあ、進太郎君も招待されていたんだね。」

橋野先生が爽やかに返してくれる。


「おお、進太郎君か。奥さんの出産の時はうちの病院はどうかね?」

藍若先生のお誘いは、その時はお世話になりますと答えておく。


「あ、進太郎さん♪その節はお疲れ様でした。」

竜斗さんも気さくに挨拶してくれる。


何というか、ヒーローの忘年会かと進太郎は錯覚していた。


料理の並ぶテーブルを見ていると、女の子に世話を焼かれるカップルだなと思って

いたら・・・・・セイントカイダーの炎馬さんで、と言う事は隣の女子はスーツを

引き継いだ桜田さんだろうと推察する。


炎馬さんと俺が目が合うと、炎馬さんが驚いた眼をして料理を喉に詰まらせた。


・・・・・いや、だからジープの件はごめんなさい。


セイントカイダー組には、彼らの精神衛生の為にそっとして置くことにした。

「旦那様、置いてけぼりは酷いですわ♪」


進太郎を見つけたリーファが、素早く近づき腕を絡めて進太郎に抱きつく。


その様子を見た剣淵美姫嬢が、真剣な表情でこちらを見ていたのが嫌な予感がした。

「いやあ、盛り上がっている所を邪魔しないようにだな。」


リーファに対して言い訳をする進太郎。

「お気遣いはうれしいです、美姫さんとは連絡先も交換し合いましたし。」

すげえ嫌な予感がする俺以外に、と進太郎は思った。


その後、リーファに確保された進太郎は二人で料理の食べさせ合いやダンスに興じたりしつつパーティーを満喫したのであった。






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