第93話 吸血鬼化薬騒動その2 

キュアセイダー3号が出動していたその頃、ヴィラン対策室が管理する

ニュータントの収容施設では事件が起きていた。


デーモンブリード達、ヘルグリム帝国により捕らわれた怪人トラキーク。


彼女が収容されている部屋の中で、心臓を抜き取られて殺害されていたのだ。


彼女だけでなく、巡回していた職員の一人も同様の手口で殺害されていた。

ヴィラン対策室の心胆を寒からしめる、連続密室殺人事件の発生である。


遺体が残る現場を訪れたのは前髪をツンツンに立てた黒髪ショートの端正な顔立ちのスーツの男、神装刑事ジャスティスこと神威了。


彼は、端正な顔立ちを怒りと悪臭にゆがませていた。

「無駄足と無駄弾を使わされた上に、職員と捕えたヴィランを殺されるとはっ!!」

ヴィラン達に後手に回らされイラついていた。


神威と同じく端正な顔立ちだが、こちらは亜麻色の長髪とワイルドな自由人

を思わせる長身で引き締まった体躯の男キュアセイダー3号こと狗殿兵汰は

現場の惨状と殺害された職員の遺体からこの事件の真相にたどり着いていた。

「神威さんよう、犯人はこの間追い払ったテペヨロトルで決まりだ。」


神威に犯人を告げる兵汰、その言葉に

「・・・・・どういう事だ?」

と怒気を含めて聞き返す。


やれやれと肩をすくめる兵汰。

「殺された職員のおっさん、眼鏡かけてるだろ?あんたもこの前見てるだろうが

テペヨロトルは鏡や鏡になる物なら何でも通路にできる、部屋の照明でおっさんの眼鏡が鏡になって奴を招き入れた証明終了だ。」

兵汰が職員の死体を示して事件のあらましを答える。


テペヨロトルの護送車襲撃事件の際、彼も狙撃による援護射撃をしていたのだ。


「・・・・大した名探偵ぶりだな。だが、謎が解けても俺達の仕事は終わらんぞ。

・・・・・・次こそは、奴らを仕留める!!」

神威の決意にへいへいと頷く兵汰、彼らの戦いはまだ終わらない。


一方、所変わって夜のまほろば町。


雑居ビルの裏で、学生服の上にフード付きパーカーを着たが制服の袖で

血で汚れた口を拭っていた。


「・・・・・ざまあ見ろ、これがニュータントの力だ。」

少年が笑うと口には牙、彼の足もとにはボコボコにされた上に首筋に二本の穴が

開いているチンピラ達が倒れていた。


少年は、フードを被るとありえない身体能力でビルの壁をジャンプしながら登り陰に隠れながら空を舞い消えていった。


吸血死体発見のニュースと、吸血鬼の噂が流れた。










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る