第82話 追跡と決戦 急
大使館別館の玄関で進太郎が
「さて、アニーを助けに行って来るぜ。」
と言い祖父が変身したベルトを巻き、見送るメイとフランに手を振る。
「お気をつけて!!」
「・・・・・行ってらっしゃい。」
デーモンブリードに変身して空を飛ぶ進太郎、三メイドは進太郎の眷属である。
進太郎の能力である68の権能の一つ『眷族の支配と使役』でアニーの居場所を探り舞い降りた地は栃木県の山の中の石ころだらけの場所だった。
「く~っくっく、良くここがわかったな?」
ダークエルフのトイマンが赤いキューブをデーモンブリードに見せ付けて笑う。
「黙れ、アニーを取り返してお前を断罪する。」
トイマンを指差し、静かに怒るデーモンブリード。
「それは不可能だ、貴様の手下も貴様も死ぬ!!」
アニーを封じたスイッチを押して変身しようとするトイマン、だが異変が起きた。
「・・・・馬鹿な!!何故スイッチが押せん!!」
必死でスイッチを押そうとするトイマンだが、スイッチのボタンを押せない。
それどころか、スイッチがピキピキと音を立てひび割れて行き爆発した!!
トイマンを吹き飛ばした爆発の中から燃え盛る炎の狼が飛び出し、デーモンブリードの下へ赤毛のメイドへと姿を変える。
「ただいまでちゅ~~~~っ♪」
と叫び飛び込んでくるアニーをデーモンブリードがお姫様抱っこでキャッチ!!
爆発で右手を失い吹き飛ばされたトイマンが
「・・・・・ば、馬鹿なっ!!・・・・・何故だっ!!」
傷口から血を流し倒れながら呻くトイマン、そこにデーモンブリードが近づいて
腰を踏みつけ重力を操って押さえ込む。
そして、戦闘モードになったアニーが熱した鎖で血を流すトイマンの傷口を
焼いて塞ぐとダークエルフのトイマンは気絶した。
「・・・・お前が罠に嵌ってたんだよ、アニーを攫わせたのもこっちの作戦だ。」
アニーにトイマンを鎖で拘束させる中、デーモンブリードがつぶやく。
ヘルグリム帝国が立てた作戦は、敵がモンスターを捕まえているなら敢えてこちらの人員を捕らえさせる。
そうすれば、進太郎の権能で追跡が可能なので仲間をマーカーにして追える。
アイテムに封じられても
『家族や眷属と力の貸し借りをしあう』権能で、捕らえられた仲間に過剰すぎるほど
力を貸し与えて内側から抜け出させられると言う算段を立てたのであった。
デーモンブリードが指を差したのは実はトイマンではなく封じられたアニーだった。
指差しでアニーへとパワーを送っていたのである。
「ヴィラン対策室に引き渡したら、お金もらえまちゅかね?」
アニーが変身したままの進太郎に問いかける。
「・・・・・・・流石に、今回はくれるだろ~?神威さんは渋るだろうけれど。」
と言って、ふと湧き出た報酬の予感に目が眩みトイマンを殺さずに引き渡す事にした
デーモンブリード。
・・・・・・その結果はというと
「・・・・・・貰えた、確かにお金は貰えたが・・・・・・8千円かよ!!」
・・・・・・頑張ったのに基本料金しかもらえなかった、事件は解決したが
500万円ほど自腹を切ったヘルグリム帝国にとっては赤字だった。
トイマンは秘密の場所に収監されたらしい、事件は解決したが彼が開発したスイッチと変身ベルトのデータは競り落とした何者かにより広まり様々な変身ベルトが後に
出回りヒーローとヴィランを生むこととなる。
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