第65話 空中盆栽対空飛ぶ鯨 その6

吸血樹に捕らわれたデーモンブリード。


手足や胴体だけでなく、首の根にも敵の枝が巻き付いて締め上げてくる!!


「・・・・がはっ!!」


両の手首足首も締められて逃れられない、技を使おうにも意識が集中できない。


「・・・・しっかりするんじゃ、進太郎っ!!」

ゴート66世が叫ぶも、進太郎の意識は落ちかけていた。


吸血樹が、デーモンブリードを食い殺そうと幹から口を開き牙をむく!!


吸血樹が自身の勝利を確信したその時、怒涛の勢いで洪水が襲ったっ!!


ダイマッコウ号が溜め込んだ海水を更に放出したのだ、思い切り海水を受けた

吸血樹は、捕らえたデーモンブリードを水で流され空へと放り出した!!


一方、放り出されたデーモンブリードは空中で意識を取り戻し翼を広げて空へと

舞い上がった。


「・・・・・・げほげほっ!!・・・・・この程度の痛み、お前らの犠牲者の

何万分の一苦しみでも知っておかねえと。」


自分が痛みを知る事で他人の痛みを慮る、犠牲者の苦しみを考えられない者には

人を助けたり世を守るヒーローを名乗れない。


それがデーモンブリードの矜持の一つだ!!


自ら囮をとして、相手の隙を暴く作戦が功を奏したのだった。


「肉を切らせて骨を断つじゃな、そろそろ止めと行こうかの。」

ゴート66世の言葉と同時に、ダイマッコウ号が抜錨してデーモンブリード

の後ろへと飛んでくる。


大量の海水を吸い込んだ吸血樹は、中国で潜んでいた時よりも白く枯れ始めていた。


周囲の建物や土地を取り込んで作った鉢も、ボロボロと崩壊を始めていた。


「地獄へ落ちろ!!デーーーーーモン、ビーーーーーーームッ!!」

叫びと共に、デーモンブリードの全身から黒い闇が放たれるっ!!


その闇はまるで黒い太陽のように、デーモンブリード達を中心に巨大な

球形に広がり周囲を包み込むと10秒ほどで消えた。


闇が消えると吸血樹は跡形も無く消え去り、デーモンブリードとダイマッコウ号

だけが周囲の海に残った。


・・・・・・こうして、吸血夜会の東アジア支部は壊滅したのであった。










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