海外出張ロシア編
第44話 北の国で その1
吸血夜会、トランシルヴァニアを本拠とし世界中で蠢く悪の組織。
世界各地に支部、そして下部組織を持つ。
中国某所の東アジア支部も、ヴィラン組織や一般人の犯罪組織を配下にして
自分達の喉を潤す為時には人身売買、時には誘拐をしていた。
その資金源は、ヨーロッパは主に企業に擬態し裏から蚊のように吸い取る。
アジアやアフリカにオセアニア、中南米は暴力と殺戮で稼いでいた。
彼らが血を吸う理由は生物、中でも人間の血液に含まれる
ニュートラル・ウィルスを摂取する為である。
人間が、ヨーグルトで乳酸菌を摂取したりワインのポリフェノールを取る
のと同じ理屈で自分達の体内のニュートラル・ウィルスを活性化させ己を強くする。
吸血鬼のニュータントにとって、自分達以外のニュータントや一般人はコンビニや
自動販売機で売ってるジュースや酒の容器なのである。
今日も彼らは世界の各地で血を求める。
夜のロシアの港町の倉庫、黒スーツの男達と向き合うのは赤いチャイナドレスを着た
白い肌の美女と美男な執事達。
「受け取りなさい、そして血袋を寄越しなさい。」
ジュラルミンケースを男達へ放る美女、男達が倉庫の置くからガラガラと棺桶を
運んでくる。
執事達が棺を次々に開けると、開けられた棺の中には拘束着を着せられ眠らされて
いる少年や少女が入っていた。
「・・・・・・美味しそう♪」
美女が舌舐めずりをする、その姿は妖艶だった。
美女が手を上げると執事達が棺を閉じる。
ロシアンマフィアとの取引を終え、美女が執事達に
「さ~て、帰りましょ♪」
と言い棺を運ばせようとした所で黒スーツの男達が一斉にビリビリと
スーツを破り、漆黒の人狼に姿を変え吸血夜会の執事達に襲い掛かった!!
人狼達の不意打ちに、執事達は抑え込まれ喉笛を食いちぎられていく。
「何よこれっ!!・・・・・・まさか、マフィアの罠だって言うの?」
鋭い爪で切り裂こうとする人狼達の攻撃をかろうじていなしながら
白い肌の美女は逃走を図る。
彼女の間違いは二つ、一つは人狼達がロシアンマフィアの刺客だと思っていた事。
もう一つは
出口に向かう途中の天井を突き破り降りてきた、黒い悪魔の騎士と赤い女人狼
を相手にする羽目になった事である。
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