第6話千春の悩み

それからと言うもの毎日千春は弁当を作ってきてくれた。それは有難いのだが、千春の弁当にはいつも何かしらの出来事が起こっていた。定番の砂糖と塩の間違えから想像もつかない失敗、調味料の軽量ミスなど多岐にわたった。これからの弁当はどうするべきかなどと考えつつ今日も失敗した弁当を食べている。最近は奇抜なミスは減ってきたがどれもはっきり言って食べるのに苦労するものばかりだ。


「二人ともごめんね、いつも失敗ばかりで……。今まで料理とかしたことなくって。」


 申し訳なさそうな声で千春が言う。これからの弁当は俺が作ろうかと考える。だがそれでは千春はこのまま料理が作れなくなってしまうかもしれない。様々な思考を巡らせそこで夕日も自分で料理を作れるようになりたいと言っていたことを思い出した。


「じゃあ俺の家で夕日と一緒に料理教えようか?志津と俺が教えれるし。」


「お願い!二人に教えて貰えるなら心強いよ」


 俺の提案を千春は即座に快諾し、話を進めていく。俺と志津の料理教室は今日の放課後にやることとなっる。今日のお題は比較的簡単に作れ、尚且つ千春が好きだというハンバーグだ。帰宅時に三人でスーパーに寄り、失敗してもいいようにいつもよりかなり多めに材料を買っていく。千春のミスは初歩的なものが多いのでレシピに忠実に作らせれば失敗しないはずだ。そう信じたい。


 ひとまず材料買い終え帰宅する。先に家にいた夕日にも事情を話すと嬉々として準備を始めた。材料を机に並べ、作り始める。今のところ千春を俺が、夕日を志津がと言った様に分担して二人を見ている。何故俺が千春を見ることになったかと言うと夕日が志津に教わりたいと言ったからだ。うん泣きそう。


 それはともかく千春は順調だ。しっかりと量りや計量カップで計りながらやっているからか特に異常も無く鼻歌交じりに作っていき、形成する。


「よし!出来た!」


 すぐそこから夕日の声が聞こえ、その後千春のふぅと息をついた音が聞こえた。どうやら二人とも残すは焼くだけのようだ。そのまま順調に焼き上げハンバーグを食べ始める。


「「おいしい!」」


 千春と夕日の声が重なった。二人とも自分で作った料理に満足のいく結果になったようで何よりだった。

 食べ終えてから、帰り際に俺は今日余った材料を千春に手渡した。


「これどうしたの?今日使った材料と同じ用に見えるけど。」

 受け取り、千春は不思議そうに首を傾げた。


「宿題だよ。明日の弁当にこれ入れて来てくれ。焼く以外は夜にやっちゃっていいから。調味料とかしっかり計って今日やった通りに作れば大丈夫だよ。」

 まあ今日作った感じでは失敗は多分しないだろう。本当は大丈夫と言える自信はなかったが本人に頑張ってもらうしかない。これからの弁当が進んで箸が伸びるものになることを祈りつつ二人を見送るのだった。

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