天地となりて

Next Stage

「お疲れ様でしたーっ」

「ご主人サマ、強運の相がアルヨ」

「おつかれさまでした~」

 銘々労いの言葉をかけてくれるが、やはりウミネコはいない。


「ちーす」

 コギャルがいた。もうメイドにすら見えない。書状にあった名前は「ビビ」だったな。

「ていうかー、アタシあいつ嫌いだったしー」

 モデルの様な歩みで近づき、耳元で囁きかける。

「アンタの方が好みだから……、よろしくね」


「いやぁ、僕はちょっとそういうのは苦手でね……」

 タジタジと後退する。

「好都合じゃな~い。トラウマは克服しなきゃ。アタシはアンタの言う事何でも聞いてあげるよ」

 後退する僕にぴったりと歩調を合わせて付いて来る。

 ガタンとテーブルにぶつかり、止まる僕の上から顔を近づけてくる。

 元々背が高い上に、かなりの厚底を履いているので僕より背が高い。


「分かった。分かったから……、君にするよ」

 ふふん、というようにビビは離れる。

 バタン、とドアの閉まる音。ウミネコの部屋か。ドアを少し開けて覗いていたようだ。


 ふーやれやれ、と汗を拭く僕に皆の冷たい視線が突き刺さる。

「ご主人さまサイテーです」

「ワタシ達だって選ばれたいのに……」

 カスミも困ったような、怒ったような顔をしている。

 カナはよく分からない。


 いつもは皆アピールしてくるのに、今日に限って静かだったのはウミネコに気を使っていたからか。僕にもそのくらいは分かる。少し気が重い。

「それでも次の戦いは始まります。決戦が近いようですよ。次が準決勝です」

「ホント? やっと解放されるのか」

 少し安心する。回を増すごとに戦いもキツくなっていた所だ。永遠に続くと言われるよりは気が楽だ。

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