蒼穹の爪

Next Stage

 階下へ降りるとメイド達とチェコフが迎えてくれる。

 ウミネコはやさしげな笑顔を向け、鈴々は屈託の無い笑顔。

 お調子者の風華までが手を軽く振るだけだ。

 さっきの戦いと僕の泣き声を聞いて、気遣っているのだろう。


 まだこんな戦いは続くのか。とチェコフを見ると、傍らにメイドがいるのに気が付いた。

 少し日に焼けた、ツインテールの無表情なメイド。


「……どうして?」

 彼女は一緒に逝ったものと思っていた。無表情な目で僕を見るだけで何も言わない。


 しばらく僕の目を見ると、挨拶は済んだというように視線を前に戻す。

「ア、アルカ……ちゃんだっけ?」


 しばしの沈黙の後、アルカは前を見据えたまま口を開く。

「あの方は私を人として扱って、人として大事にしてくれました」

 無表情に、事務的に言う。

「私もあの方と一緒に逝こうと思いました」

 少し言葉を詰まらせ、

「でも、生きて……残ってほしいというのが、あの方の願いでした」


 その言葉を守って、ここに来たのか。

 僕は返す言葉を思いつかない。

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