第50話 お友達⑦

 ほとんど教室に行かないまま、2学期が終わった。終業式の日、冬休みの宿題と、持って帰ってもしょうがない通知表と、いろいろなプリントを、担任が特別室へ持ってきてくれた。特に話をしようとしない先生が、七海には本当にありがたかった。


 この日、美愛ちゃんは学校に来なかった。来ると言っていたのに。以前、図書館で本を借りる約束をして、先週にも確認したのに、待っても待っても来なかった。


 七海は残念に思い、少し悲しい気持ちになりながら、閉館時間の迫った図書館へと急いだ。


「内村先生、美愛ちゃん来てないよね?」


「そうね、来ていないわね、どうかした?」


「いえ、いいんです。先生、4冊選ぶので、待っててもらえますか?」


「いいわよ」


 七海は急いで本を取りに行った。1冊目は前から読んでみようと思っていた、分厚い小説だ。2冊目は、面白そうな地図帳の読み物、3冊目は算数のクイズとパズル、4冊目は国語辞典だった。


「先生、これでお願いします」


「はいはい、えーっと、七海さん、国語辞典なんか借りるの?」


「はい、持ってなくて……分からない言葉がでてきたとき困るし、あと知らない言葉をなるべく覚えようと思って」


「そう、えらいわね。じゃあ手続きするね」


 今日の七海のカバンは重かった。

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