第32話 図書室③

 七海は、さっそく次の日の昼休みに図書室へ行ってみた。でも誰もいないし、昨日の先生がいなかったので、なんとなく今日はやめておこうという気持ちになったので、教室へ戻った。


 その次の日行ってみると、また一番乗りだった。


「こんにちは」


 また司書の先生が声をかけてくれた。


「こんにちは」


 七海は、今度はちゃんとあいさつをすることができた。そしてすぐに、一昨日、少し気になった外国の絵本のコーナーへ行ってみた。そこで一番目立っていたのは、『はらぺこあおむし』という絵本だった。昔、どこかで見たことがあるような気がした。低学年の子が乱暴にあつかっても、破れないような頑丈な本だった。七海は手に取って、近くの椅子に座り、本を開けてみた。


 七海は一気に読んだ。やっぱり昔、読んだか、読んでもらったかどちらかだろう、なんとなく内容を覚えていた。でもまた読んでも面白かった。最後にあおむしが蝶になったとき、すごく嬉しい気持ちになった。


 もう昼休みも終わろうとしていたので、七海は本を元に戻して、図書館を出ようとすると、司書の先生が、


「どう? 面白かった?」


「はい、とっても」


「今度は借りてみたら? はいこれ、読んでおいてね」


 と、司書の先生がプリントを渡してくれた。


「ありがとうございます」


 七海は足取り軽く、図書館の外へ出た。

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