カード型物語1「君との思い出話をしよう」
すみだ はな
君との思い出話をしよう
そう、あれは、桜の花びらがゆらゆら舞う、
春の休日のこと。
太陽がニコニコしていたから、
地上の草木花たちもニコニコしていた。
朝から君はとても元気で
朝ごはんはそこそこに、
僕と君とで散歩に出かけることにした。
外はやわらかい空気でいっぱい。
優しく僕たちを包み込む。
土手へと続く道。
縁石の上を君は楽しそうに歩く。
春の陽気はここまで君を変えてしまうのだろうか。
風に乗って運ばれてきた桜の花びらが、
君の鼻の上に遊びに来た。
君はびっくりしていたね。
僕の先を歩いていた君が、
まるで「とって~」と言うかのように、
僕に寄ってきたときは
そのかわいい様子に「どきっ」としたよ。
僕が腕を伸ばすと、
そのまま僕の胸に飛び込んできた。
僕は君の小さな体をぎゅっと抱きしめた。
だって、あまりにも愛おしくって。
知ってるかい?
僕は君に夢中だったんだ。
どんどん季節は巡っていった。
あの頃、必然の別れがやってくるまで
僕たちの関係は絶対に変わらないと思ってた。
だけどこんなに早くいなくなるなんて・・・
遠くにいる君に
僕の声は聞こえるだろうか。
これが見えるだろうか。
また君に、この桜の花びらを見せたいよ。
カード型物語1「君との思い出話をしよう」 すみだ はな @sumida0hana
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