異世界の図鑑士

@Eyestrain

第1話 プロローグ

冒険者達が良く使う、安宿で目を覚ました

「あ~、疲れがとれない~けど働かないと飯代が~」

などと愚だりながら体を起こした。

「とりあえず、仕入れたモノを早く届けないとな」

と思い身支度をして宿を引き払い、馬車に乗り帰宅の徒に着く


親は冒険者をしていたらしい。

らしいというのは俺が物心つく前に探索中に行方不明になってしまい。

その後は知り合いの商人の元で育てられ、そのまま住み込みで働かせてもらっている。

しかし、今年で俺も14歳。

成人とされる年齢になったため街の教会で成人の儀を受ける。

そこで、生まれ持った自身の能力(スキル)が何かを教えてもらえる為、それを活かして仕事をしようと昔から考えていた。


育ての親は、このまま働いてくれていいと言ってくれた為、

物を自分の魔力によって仕舞えるレアスキル「アイテムボックス」や物の真贋が見れるという「鑑定」などがあればいいな~と考えながら長閑な風景を横目に進むと、漸く自分の住んでいるトスカの街に着いた。


顔なじみの門番と軽く挨拶しお世話になっている商店の前に到着した。


「おやっさ~ん持ってきましたよ~」


すると店の中から40歳後半の恰幅の良いおじさんが出てきた。


「おお、ご苦労さん。取り合えず中に運んどいてくれ」


「りょ~かい」


積み荷を店内へ運び込み、馬の世話やら荷台の点検やらをすますと辺りは夕暮れに染まっていた。


「お~い飯だから戻ってこい」


「すぐ行きます!」


店と併設されている家に入り食卓へと向かう

食卓にはすでにおやっさんのトルミと奥さんのキーラが席についており、食事が用意されていた。


「お待たせしました。」


「それじゃ、飯にするか」

おやっさんの一声で食事を始める。


「そういや、ペパーももう14歳だろ明日教会行ってこい」


「え、でも店の準備とか色々あるからいいですよ」


「明日一日ぐらい俺とキーラだけでなんとか出来るから問題ない」


「そうよ、それに仕入れから帰ったばかりなんだから序でに休みなさい」


「それに、商売に役立たないスキルでもお前が望めば店で今まで通り雇ってやるから気負わずに行け」

とニカッと笑った。


「おやっさん・・・ありがとうございます。」


おやっさん夫婦の暖かさに胸を打たれながら食事を終えた。

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