第70話 ダンジョンウォー

ダンジョンギルドの一室、そこでダンジョンウォーの詳細が話し合われていた。面子は敵の3名のマスターとそれぞれの秘書、ランティークとその秘書、俺とリンス、ギルドマスターとカサブランカ、それとギルド政務官と呼ばれる役職の人が3名であった。


「そちらにルールの詳細が書かれています。その内容で問題なければ、こちらの契約書を元にエイルに契約を行ってもらいます」

ルール説明を聞いて、俺はギョッとした。勝利条件の内容に、相手の全てのダンジョンの攻略とあるのだけど・・敵のマスターの所有するダンジョンは全部で17・・ランティークは5つ所有しているみたいだけど、うちは一つしかない・・・17対6って・・・不利すぎる。


「紋次郎様・・・勝利条件もそうなんですが、亜人の定義が冒険者に限定されています」

「それはどういうこと?」

「簡単に言いますと、アスターシアやリリスは冒険者としてしかこの戦いには参加できません」

「ええええ! それは困るよ・・」

「それだけではないです・・神獣は不参加と書かれています」

「それってどういうこと? どうしてそんなこと書いてるの?」

「これは・・ちょっとおかしいですね・・こちらの情報をある程度把握してこのルールを作成してるとしか思えません」


ギルドマスタのズオルドが声をかけてくる。

「どうした、何か不備でもあるのか?」

ルールに不満はあるけど、内容的には不備というものではなかった。これを指摘してルールを改正してもらうのは理由に乏しい・・うちには強力な神獣がいるので是非参加させたいのでルールの変更してくれと言うのはちょっと苦しい話なのだ。


「しかたありません・・こちらでお受けするしかないですね・・」

「だね・・、ランティークさん、これでお受けして良いですか?」

「私はどんなルールも問題ない。君がいいのならそれで良いぞ」


それを聞いて俺は正式に発言する

「こちらで問題ありません」

相手側は気持ち悪く笑いなが答える。

「こっちも問題ねえぞ、へへへ」


その双方の返答を聞いて、カサブランカがまとめる。

「それでは双方問題無いようですのでこちらでルールを確定します。後は勝利報酬の話に移ります。こちらご希望はございますか?」

「え、勝利報酬って何?」

「ダンジョンウォーは、勝利した運営側が、敗者から何かしらの戦利品を貰うことができるんです」

「そうなの?」


さらにいやらしく笑った敵マスターはとんでもないことを言い出した。

「へへへ、こちらはその女秘書を貰いたい。どうせ金なんて持ってなさそうだからなあ」

「何! そんなのダメだ! リンスは物じゃない」

「おう・・ひよっちまったのか、勝てばいいんだよ勝てば!」


それを聞いたリンスは、少し悲しく笑いながら、俺に言ってくれる。

「紋次郎様、私たちは負けません、大丈夫です、その条件を受けましょう」

「リンス・・・でも・・」

「自分の仲間を信じてください。みんな頼りになるでしょう?」

「わかった・・リンス、絶対勝ってみせるからね」

俺たちはその条件を了承した。


「マスター紋次郎側は、勝利報酬は何を希望しますか?」


ここは悩んだけど、無難にお金にした。お金だったらランティークさんと分けることもできるし、なんだかんだ言っても今のうちには、お金が必要だからね。


宿に帰って一連の話をすると、案の定ポーズに怒られる。

「何やってんだよ馬鹿主! なんだよダンジョンウォーって、そんなことやってる場合じゃねえだろうが」

「そうだよね・・負けたらダンジョンギルド除名されて、リンスも取られちゃうし・・・勝っても1億ゴルドが入ってくるだけだから・・」

「1億!! ・・・・・勝利報酬は1億ゴルドなのか?」

「そうだよ」

「よし! こんなところにいる場合じゃない、さっさと帰って対策を練るぞ!」


本当、ポーズは単純というか・・欲望に忠実なのか・・お金に弱いだけなのかもしれないけどね。




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