1-4

 そして、病院の廊下を歩きながら考える。


 どこに埋めたろう。思い出さないと……。


 家に帰る道中ずっと思い出そうとしたけど、答えは靄の中の様に全く掴めなかった。もう午後五時を回っている。まだ春先だからか日が短い。早くしないと真っ暗になってしまう。

 焦れば焦るほど、頭の中に靄がさらに掛かっていく気がした。

「ただいま…」

「お帰り。…遅かったわね」

 母さんが出迎える。夕飯の準備を始める所だったらしい。

 無言で二階に上がる。部屋に入って、ベッドにどっかりと腰掛けた。

「はー……。」

 まだ、思い出せないままだ。それからしばらくぼんやりとしていた。


 …何分経ったろう。

 どんどん辺りが暗くなってきた。

 はっと気付いた。早くしないと。暗くなってはどちらにしても探せない。矢も盾も堪らず俺は部屋を出て、靴を引っ掛けて玄関を飛び出した、のだが。


 ―からんからん。


 聞き慣れない音がした。家にはドアベルなんか取り付けてない。

 顔を上げると、外に出たはずなのに、目の前は室内だった。

「は…?」


 ここは、どこだ?

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