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そして、病院の廊下を歩きながら考える。
どこに埋めたろう。思い出さないと……。
家に帰る道中ずっと思い出そうとしたけど、答えは靄の中の様に全く掴めなかった。もう午後五時を回っている。まだ春先だからか日が短い。早くしないと真っ暗になってしまう。
焦れば焦るほど、頭の中に靄がさらに掛かっていく気がした。
「ただいま…」
「お帰り。…遅かったわね」
母さんが出迎える。夕飯の準備を始める所だったらしい。
無言で二階に上がる。部屋に入って、ベッドにどっかりと腰掛けた。
「はー……。」
まだ、思い出せないままだ。それからしばらくぼんやりとしていた。
…何分経ったろう。
どんどん辺りが暗くなってきた。
はっと気付いた。早くしないと。暗くなってはどちらにしても探せない。矢も盾も堪らず俺は部屋を出て、靴を引っ掛けて玄関を飛び出した、のだが。
―からんからん。
聞き慣れない音がした。家にはドアベルなんか取り付けてない。
顔を上げると、外に出たはずなのに、目の前は室内だった。
「は…?」
ここは、どこだ?
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