第29話 校外学習Ⅰ

五 校外学習


 緑坂高校の校外学習は、他校と比べて風変わりであることで有名だそうだ――情報源は晴人だ。

 その晴人の情報源がたとえなかったとしても、校外学習の内容を聞かされれば、誰もが「変わってるな」と感じると思う。

 長々と引き延ばしたが――校外学習に乗り気でない俺が現実逃避しているわけでは決してないことをここに明言しておこう。

ずばり、緑坂高校の校外学習は――

天体観測である。

しかも、午前中は地元の科学館で天体について学習した後に、午後から山に登り、夜まで宿泊施設で睡眠時間を設け、夜通し星空を眺めるといった内容らしく、これは途中に休憩を挟むとしても、なかなかハードなスケジュールなのではと思われる。

 校外学習というから、もう少し楽な内容だと考えていたのだが――。

 

 俺は校外学習を明日に控えた夜、ベッドの上で、そんなどうしようもないことを考えていた。

 スマホで明日の天気を確かめると、晴れ――今日で何度天気予報を確認したのか分からない。

 ――いや、いい方法があるじゃないか。休めばいいんだ。

 体調が悪いのでお休みします、と学校に電話すればいいだけではないか――俺、ナイスアイデア。

 その思考を遮るかのようにメールの着信音が鳴った。

「春樹、明日家まで迎えに行くね――くれぐれもサボろうだなんて考えないようにね」

 ……明日に備えて、今夜は早く寝よう。

 俺はスマホのアラームをセットし、布団にもぐりこんだ。

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