第4話 セバス×ツアレ=企みのペストーニャ【想像/捏造】
ソリュシャンは様々なモノをそっくりに
まして、パンドラズ・アクターの変身であったとしても、そのモノとは異なる、己でもってその
そのため、ソリュシャンはリュートを定期的に預かり、養育する
・・・ただ、なんとなく。
・・・ ・・・ ・・・
セバスは大事な話をするため、無理を承知で場を設けたところ。ぐっすりと眠っているからと、慣れないながらにリュートを抱き抱える事になった。普段、起きている時と比べるとおとなしいものだと思いながら、男子禁制の
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ~!」=ちがう! ど~こ~?
「むわっ! ・・・よしよし、よしよし?」
最初の瞬間だけ慌て、なんとか取り
ただ、思い通りにならないからと手を上げたり、放り出したり、激しく揺することがない分、上出来の
泣き出してからさほど間を置かず、救いの手は差し伸べられた。だが、セバスからすると、それですら十分に長く感じられた。
「はぁい、リュート。
慌てふためくセバスを他所に、直に部屋に戻ってきたツアレはその場ですばやくメイド服を
「ツ、ツアレ、泣き声で求めるものがわかるのですか?」
セバスはオロオロしつつ、席を譲りリュートを手渡そうとするが、ツアレからはそのまま椅子に座っているよう促された。促されるままに椅子に腰掛けていると、ツアレはそのセバスの膝の上、セバスに
そうなってしまえば、セバスにはそのまま椅子としての役目を果たさねばならなくなり、ツアレとしてはセバスに甘えられ、一挙両得。実際には、リラックスできる事が一番なので、その様にセバスに【
「えっと、なんとなく、です。そろそろ時間かとは、思っていました、ので」
「そうですか、私にはなんとも判別が付きませんでした」
「うふふ。私、安心しました。セバス様にも、わからないことがあるって」
楽しげに、嬉しげに笑うツアレを見詰め、セバスは言葉を紡ぐ。
「私が求められたるは、このナザリックを盤石の状態で維持することをお助けするために生み出されたまで。それ以外のことに関しては、及ばぬことばかりです」
事実を事実としてのみ、口上するセバス。その
だから、自分も思いを言葉にして告げようと、口を開きかけたが、その口からは、言葉は出てこなかった。
「だから、ツアレにも助けていただきますよ。これから色々と分からないことが多くなってくるので、その都度、内助をお願いします」=ツアレには、私の【妻】として、これからも助けて頂きたい。
その様に極自然に紡がれる言葉の内に込められた意味が、ツアレの心に響いた途端、おおいに慌てふためいた。
「わ、私なんて! その! あの!」
セバスの思わぬ
「は、はぃ・・・、その、がんばり、ます」と尻すぼみがちに返事をした。
「期待しています」
セバスは普段とほぼ変わらぬ謹厳実直を絵に描いたような表情なのだが、ツアレが間近から見る角度からだと、微妙に口角が上がり、
「セ、セバス様・・・不意打ちは、その、
「何かいいましたか?」
「・・・ぃぇ」
セバスの腕の中では、満腹になったのか、うつらうつらと舟を漕ぐリュート。
「あ、セバス様、リュートの背中を、こう、ぽんぽんって優しく」
「ツ、ツアレ。こ、こうですか? これで本当にあっていますか? 力が強すぎたりはしていませんか?」
仕慣れない動作を、ぎこちなくも繰り返す。
「はい、そっと・・・はい、
「・・・私には分からないことばかりです。ツアレ、私には貴女の助けが必要ですね」
「はい、私がセバス様を・・・お助け、できるのであれば、何なりと」
戸惑いつつも、迷いのない、セバスから温かな眼差しを
その笑顔の下に、盤石の決意が秘められている事を、セバスは感じ取っていた。
あの、初めてあった当時の、か細く儚い姿からは想像がつかない
眠いけど、眠くないもん! と頑張るリュートは、セバスの腕の中から這い出そうと
ただ、この枕は固過ぎてイヤ。という思いは伝わってきそう。リュートにはまだまだ早すぎた枕らしい。
/// /// ///
蛇足話
ペストーニャ・S・ワンコは、餡ころもっちもち様により作られ、ナザリックの良心とまで呼び讃えられている。
だが、邪悪なモノ達が大勢を占めるこのナザリック地下大墳墓において、それは比較対象と比べて、良心的と思われているのであって、決して邪悪でないというわけではない。見方を変えれば、極悪と思われる行為をも、善行にすら掏り替えられてみえる。
・・・ ・・・ ・・・
ペストーニャは隣室にて
「これで問題の一つはクリアできましたか。ここまでセバス様を誘導するのは、本当に骨が折れました・・・わん。さて、ここまでが餡ころもっちもち様が残された【神書=
言葉を切り、辺りの音に耳を澄まし、周囲の空気を嗅ぎ摂り、辺りに散る気配に対し、低く低く潜めた声を放った。
「貴女達? どうしてここに集まっているのかしら?」
メイドの嗜みとして、通常スキルでは聞こえぬ【
すると、近隣の部屋から、ぱたぱたと慌てふためきながら狭い出口へと殺到する音が聞こえた。
「まったく、関心があるのはおおいに結構。その調子でお相手も見つけてくればいいのだけれど・・・わん」
ふと、部屋に備え付けられたテーブルには不釣り合いな、ヴェールで覆われている大きめのランプ、らしきものが目に止まった。
「あら? こんなところに、こんなものがあったかしら? ・・・わん!」
小首をかしげながら唐突に一吠えすると、ヴェールが掛けられたモノが、ビクリと震えた。
そそくさと【首のない】体が現れ、その不審物を抱えると、とっとこ部屋を出ていこうとする。
「全く、そんなに気になるのでしたら、隠れなければいいではありませんか。わん」
呆れたように部屋を出ると、セバス達の居る部屋を挟んで向こうの扉からは逃げそこね、糸が切れた
他にも、扉を薄く開けてこちらを伺うような視線がちらほら見え隠れしている。
更には、セバス達が居る隣室には、鍵穴に白く丸い球体がへばり付き、塞いでいる。【
それを見て、はぁ、と一息
「皆、仕事を
それを合図として、ザッ! とどこから現れたものか、一糸乱れぬメイド達が一斉に廊下に左右に列を為し立ち並ぶ。
「さぁ、仕事を片付けたからこそ、ここに居るのだと信じていますが、仕事は今もこれからも
その中には、条件反射で飛び出してきたツアレも含まれているのだが、皆、見て見ぬ振りをしながら、しっかりとツアレの赤くなった顔を確かめ。それぞれが散り散りになる中、思い思いの祝福の言葉を投げ掛け、更に朱に染めていく。
メイド達の姿が消え、一人廊下に佇むペストーニャは、おもむろに固く閉ざされた部屋の扉に向かって声を掛ける。
「貴方はすでに包囲されていました、ワン。無駄な抵抗はやめ、おとなしく出てくることをおすすめします、ワン」
と告げるだけ告げ、自身もそそくさとその場をあとにした。
あとに残されたセバスは、真っ赤な顔をしながら謹厳実直を絵に描いたような姿勢のまま、おんぶ紐でリュートを括り、仕事場=アインズの居る執務室へと向かうのであった。
その日の執務室では、アルベドが困った風を装いながらもリュートをあやし、妄想を繰り広げては、
ペストーニャは、ナザリックに住まう者達が、自分の
なので、リュートが生まれてから巻き起こる騒動に関しては、ペストーニャがティトゥスにまとめてもらい、記録している。表題は【
更に数年後、セバスが知らず知らずに振り撒く善意が元で、
ちなみに、餡ころもっちもちが残したとされる神書には、表と裏があり、表巻は異性間での恋愛に関したあれこれ=女性主観。
裏巻は・・・引退する時に消去するはずだった、
後に、ペストーニャが見つけ出し、
そして、それらはナザリック直属のメイド達の手によって、男子禁制の品として内々に秘匿されているのだとか・・・。
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