ニワニハニワ?【クリスマス・サプライズ?】
ある日、アインズが久しぶりに墳墓の地表部分に出てみると、
「ケーッ! コッコッコッコ!」「コケー! コッコッコッコ!」などと、
「ん?」
「いかがなされましたか、アインズ様」
怪訝な様子を浮かべるアインズに、デミウルゴスが話し掛けた。
「イヤ。今、鶏の様な」
「そんな筈はございません。何処かで山鳥でも鳴いていたのでしょう」
アインズの言に、慌てたかのようにそれを否定するデミウルゴス。
鳴き声が聞こえた方を確かめ様とすると、デミウルゴスがさりげなく視界に割って入り、妨げた。
デミウルゴスの背中の向こうでは、リュートが長めの木の枝で何かを追い駆けている様子が見られ。その後を追うように、アウラも後を付いて行っている。
「・・・そうか、山鳥か」
「はい。左様です。最近も珍しい鳥をアウラが見付けたと聞き及んでおりますので、多分その鳴き声かと」
そう肯定するデミウルゴスの背後では、急いで隠せ! と
・・・ ・・・ ・・・
「はぁー、危なかった!」
アウラが胸をなで下ろしているのを見て、
「
アウラとリュートが急ごしらえの囲いに追い込んだ・・・二羽? 鶏の様な姿に蛇の尾を加えられたコカトリス。それも、特大の
「ねぇ、まだ隠しておくの?」と囲いの側に居たマーレが聞く。
囲いの周りを盛土して、傍目には分からない様に細工している。
「まだ駄目。もう少ししてからお披露目するんだから」
「メ~! なの!」
両手を交差させてバッテンを作って意思表示するリュート。そこにデミウルゴスが様子を見にやって来て、良く出来ましたとばかりにリュートを撫でている。
「まだもう暫くは掛りそうかね?」
アインズの疑問と追及を何とか誤魔化したデミウルゴス。
「あ! はい! 実験そのものは上手く行ってるみたいで、後はもう少し時間を掛けてみないと・・・」
「触手の檻に入れてお願いしてみたりもしてるから、もう暫くしたら結果が出ると思います」
/// /// ///
触手の檻にて、そこの主に繁殖時期が早まる様、促してもらっている。あとは
余り長く入れているとストレスが溜まってしまうのを恐れ、偶の散歩中に今回発覚しかけた。
/// /// ///
「フム、ならもう暫くの辛抱か」
デミウルゴスが納得していると、
「お~! お願い? して来た!」とリュートもガンバッタ~! と意思表示している。
ピクリと、デミウルゴスの眉が跳ね上がり。
「・・・リュートにはあそこは未だ未だ早いと思うのだが?」
対外的には非情でも、あくまでも常識的なデミウルゴス。
「え!?」
「お話して来た~!」
「マーレ? どういう事!?」
「えっと、付いてきちゃって・・・」
アウラはあちゃー、とばかりに自分も嫌がらずに付いて行くんだったと思い返す。
「まぁ、済んだ事は仕方が無い。リュート、今度そこに行く事があっても、誰か大人と一緒に行くように。
危なくは無いが、自分一人だけで行ってはいけないよ」
「ハァ~イ!」
リュートの威勢の良い答えを聞き、デミウルゴスは深く頷いて実験の成果を改めて見上げた。
そこにたたずむのは、双頭のコカトリス。
「これが上手く成長してくれると良いんだが」
「うん。でもあと五個かぁ~。上手く行くと良いな~」
「ま~だ~?」
「い、一応、三つ目の目星は付いたみたい」
ニューロニストからの経過報告を伝えるマーレ。
「ほう。では、期日までには間に合わせようではないか。
しかし、アインズ様に喜んで貰える様、皆の協力を期待しているよ」
「「はい!」」「ハ~イ!」
「リュートが持って来てくれた情報によると、至高の方々は七面鳥なる鳥を丸焼きにして食されるとか」
「あと、トナカイの
「そ、それに、モミの木を飾り立てて、雪が降るともっと良いんだよね?」
「ンー!」
/// /// ///
ちなみに、触手の檻は外敵が入って居ない時などは、リュートの遊び場と化している。
触手のトランポリンとか、ジャングルジムとか?
アスレチック場の様に思われていたり?
跳んだり跳ねたり落っこちても大抵平気な遊び場であったりも。
主はとても紳士な好々爺なので、面倒見が良かったりしている事はまだ誰も知らない事実
リュート曰く、TDR=
/// /// ///
そして、当日。大役を仰せつかったリュートは任務を遂行すべく、アインズの元へ。
「アインズ様ー!」
パタパタとした足音を響かせながらやって来たリュート。
「リュートか、どうした?」
「んっとねー、えっとね~! これして~!」
と差し出されたのは目隠し。
「んん? これをすればいいんだな? それで、どうするのだ?」
「コッチー!」
目隠しをした状態で手を引かれるがまま、されるがままに歩き続け、何となく寒冷な地へ。
直にそこが第五層だという事に気付くが、辺りに気配を
「んっとえっと、もーいーよ!」
「やれやれ、何事かな?」
ゆっくりと目隠しを取り払うと、目の前には綺麗に飾り立てられたトリエントが鎮座していた。
さらに、コキュートスがフロスト・オーラを調整して雪を深々と降らせている。
トナカイの角を被ったアウラに、ミニスカサンタなマーレ。
トリエントに飾り付けられた飾りの中に紛れ、ヴィクティムも飾り付けられている。
「んっと、メリー・クルシマス!」 =言い間違い。
リュートの声に合わせ、その場に居た守護者達も一斉に、
「メリー・クルシメマス!」 =間違って伝わっている。
一瞬、何が起こったのか悩んだが、
「・・・あっははははははは! ちっ抑制されたか。だが、それを言うなら、メリー・クリスマスだ!」
一瞬、間違えた事で怒られるかと思われたが、至極機嫌が良さそうな事で安堵する参加者達。
それからパーティーが始まると、トナカイの曳く
=リュートの言い間違いから、サンタではなく
「アインズ様、七面鳥をお持ちしました」
「これは・・・」
「多少、姿形は異なるかと思われますが、この日の為に用意させて頂きました」
そう言ってアインズの元へと運んで来た。
「・・・凄まじいな」
コッコッコ、シギャー! ギャース! と、それぞれの頭で叫ぶ七つの頭を持つコカトリス。
「これは突然変異で生まれた双頭のコカトリスをベースに、ヒュドラと掛け合わせて作らせた七面鳥にございます。どうぞ、お納めいただけます様」
自分の知る
「では早速、料理長に丸焼きにして貰おうかと」
「何? コレを食べるのか?」
「はい。そのつもりで御用意させて頂きました」
「・・・待て、デミウルゴス。折角用意して貰ったのだ、もう暫く活かして置いても良いだろう」
と宣言したが、内心は【コレって食べても大丈夫なんだろうか? 確か、コカトリスって毒があったよな? それにヒュドラにも・・・】
と言う事で、もう暫くは生かされる予定とあいなった。
・・・ ・・・ ・・・
一方、その頃・・・
アインズの部屋の扉の前では、不穏な動きを見せる超特大の靴下・・・の様な布袋が三つ、くんずほぐれつもみ合っていたとか。
一つは大きく純白な生地に黒いリボンが掛けられたモノ。 =アルべド
もう一つは小さく黒い生地に赤いレースのリボンが掛けられたモノ。 =シャルティア
更にもう一つは・・・特大の青灰色の生地で、ぬらりとした細いモノを
アインズの部屋の前を警備するロードナイト達は、対応を苦慮して悩んでいたそうな。
ちなみにアインズは自分もプレゼント交換用に何かを取ってこようとしたのだが、部屋の前のそれを見て、即座に会場へ引き返したとか?
中身は言わずと知れたもの。
「「「プレゼントは、ワ・タ・シ♡」」」的なラッピング?
アルべドは黒いリボンでキッチリと喰い込む様に。
シャルティアは赤いリボンでゆるゆるふわりと絡みつく様に。
ニューロニストは【腸を干して捩った】凧糸? で雁字搦めに? =蛸だけに?
/// /// ///
ちなみにリュートには、アインズの命によりサンタの格好をしたフールーダがプレゼントを渡しにやって来た。
セバスからはもちろん、アインズと守護者達やメイド達からも、思い思いの
/// /// ///
後々、アルべド・シャルティアからの抗議を受け、
「パーティーが余りに楽しかったので部屋に戻るのを忘れて楽しんでしまった。待ち惚けさせてしまった様で申し訳ない」と謝罪する事に。
それだけで相好を崩して受け入れられた。
ニューロニストは余り気にしてはいなかった。放置プレイとして受け入れられていた
ナザリックの地表のお庭には、
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