あの子と僕

天田 ヒカル

第1話 あの子との出会い

僕は夜凪真哉やなぎしんや。今年から高校1年生になる。高校生になる前にあったちょっと不思議な事について語ろうと思う。

僕は半月前のあの日、彼女と出会った。

3月、中学校の卒業式が終わったあと僕は1人で帰路についていた。

「来年度から高校生だ!あ、そうだちょっとコンビニ寄ってから帰ろう。」

鼻歌をしながらコンビニの中に入った瞬間、とても痛い頭痛がした。めまいもする。数秒後、僕は何とか立ったらさっきまでいたはずの人々がいなくなっている。何故だかとても気持ちの悪い悪寒がした。

「な...んだよ、これ、どういうことだ...」

僕はあたりを見回したら黒髪ストレートロングの黒い眼の女の子が立っていることに気づいた。

「君は、だ...いじょうぶなの?ここは変だから早く逃げて。」

「君こそ大丈夫?よくあの負の衝撃波で生きていられるね。私が記憶を消して元の生活に戻してあげるね-」

そして僕は気がついたら自分のベットで横になっていた。

「記憶を消すって言われたのに消えてないんだけど...まぁいいか。あの子また会いたいな。可愛かったし。」

という事があったのに、この出来事はニュースになる事は無かった。多分この事を覚えてるのは僕とあの子だけだと思う。目の前にいるはずの人が急にいなくなるほどのことを体験したから、もしかしたら特別な能力とかに目覚めちゃったりして!!とか思ったりしたが、その後の入学式までの数日間何も無かったおかげで自分の夢だったんじゃないか?と思い始めた。けどそれさえも忘れかけていた入学式の時、新クラスメートによる自己紹介で急にあの時の感じを思い出した。そう、あの子がいたのだ。あの黒髪ストレートロングのあの子が。

「皆さん、初めまして。私は黒葉真雪くろばましろといいます!えーっと..好きな食べ物はカレーです。1年間よろしくお願いしますね!」

「ガタッ!」僕は思わず席を立った。

「き、君は...あの時の..!」

「ちょっと!夜凪、席に着きなさい。」

僕は先生に言われたので大人しく席に着いた。確かにあれは夢じゃないことを確信できた。その証拠に彼女、黒葉真雪は目を見開いてこう言った。

「なんで君が...?なんで覚えてるの...?」

そしてクラスメートによる自己紹介のホームルームは終わり、帰りの支度をしていたら彼女から近づいて来た。

「君はあの時のコンビニの前で意識を失いかけてた男の子だよね?」

「そ、そうだけど。」

「なんで君、夜凪君はあの時の事を覚えてるの?記憶を消したはずなのに」

「それは...」

ゴクリ、そう彼女から聞こえた。

「僕にも分からない!」

彼女はいかにもガックシみたいな感じで肩を下ろした。

「まぁ、良いですよ。ちょっとこの後付き合ってもらえますか?」

ヤッター。美女から放課後のお誘い来た〜!まぁそんなハッピーなものじゃないと思うけど。

「良いよ。けど、何処に行くの?」

「あの時のコンビニです。あそこへ行き、あの出来事についてお教えします。」

さぁ、急いで行きましょう、とばかりに颯爽と彼女は教室を出る。僕もあとに続いた。

例の、あの時の、コンビニに着いた。

「アイスでも食べながら、話しましょう。」

「うん 。」

そして彼女はおもむろに話し出した。

「まずは私が何者かについて話しますね。私は異世界から来た、あなた方の世界の安全を守る者ってとこですかね。まぁ、こっちの世界に来る途中に何者かによって、ここに飛ばされたんでけど、あなたみたいな方がいらっしゃるなんて...!」

ん?何を言ってるんだこの子。けど顔を見る限りマジっぽいしなぁ。あんなこともあったしちょっとだけ信じてみよう。

「話は大体理解できないけど、マジっぽいんで信じるよ。ちょっとだけね。」

「ありがとうございます!早速なのですが、あのコンビニでの出来事について説明いたしますね。」

「えーっと、まず私はあの時コンビニで負の気配を感じたので行ったらもう手遅れでした。」

「ちょっと待って、負の気配って何?」

「負の気配とは、あなた方の世界を侵略しようとするワールドインベイダーから流れている気配のことです。けどあなたは、何故か生きていた。それとあなたはこっち側の催眠が効かなかった。どういう事でしょう?」

ぽかーんという感じで首を傾げている。ちょっと可愛い。

「まぁ、それは置いといてこのコンビニでいたはずの人達がいなくなったのに何も騒がれませんでしたよね。」

「それは確かに。あの人数が急に消えたら、謎の失踪事件!的な感じで騒がれると思ったんだけど...。」

「それはですね。ワールドインベイダーは負の気配を使えば、あなた方の世界の人間に気付かれずに人を消す事が出来るんですよ。その人の記憶も消されてしまうので誰も気付かないという事です。」

僕は絶句した。彼女がこんな不謹慎なウソをつくとは思わない。この平和過ぎるはずの世界でそんな事起きていたとは...だが、どうして僕はそんな凄くヤバイ現場にいたのに生きているんだ...?

「なんで...僕は生きてるんだ?」

「それは、こちらとしても謎なので同じこの世界を守る者達に調査を依頼致しました。それにしても夜凪君すごいですね!なんか惚れちゃいそうです。」

「ん?!」思わず咳き込んだ。何故ならそんな風に言われたのは初めてだったからだ。

「だって、こんなこと普通聞いたら信じて貰えない上に、信じてくれたとしても吐き出したり、逃げ出したりする人がほとんどなんですよ?それなのにあなたは少ししか動揺していません。かっこいいですよ。」

可愛い子にこんなこと言われるのはとてつもなく嬉しい。

「あ、ありがとう。なんか元気が出たよ。」

それから少し話した。黒葉さんの世界ことやらなんやら、僕は少し打ち解けたのがとても嬉しかった。

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