Log 09956-N 『名にし負う:『神曲』関連文書』☆

【Log 09956 : プラクトー星間通信サーバー内から回収したテキストデータ】

*…*


*セキュリティ・トラップ“好事家の好奇心”クリアー*

*アクセス制限解除 セキュリティクリアランス提示:不要*

*専用術式サーバー『コズミック・テレスコープ』を起動します*


 〈注意:正規の手続きを踏んでないアホにはこのテキストが表示される〉


 解除に掛かった時間:0時間32分15秒

 コメント:ハッカーの単独犯とはちょっと思い難いね、このタイム。


 さて。

 この偉大な長距離通信のサーバーに黒歴史をまき散らしちまった、何とも憐れなアマチュア天文学者の為に、まあちょっとした迷路とダンジョンに挑戦していただいたワケだが。このテキストを読めてるってことはクリアー出来たんだな。別に実績解除も二週目もないが、とりあえずおめでとう。

 しかしまあ、こんな屑データの底にあるサーバーをハッキングで探し当ててくる奴がいるとはね。技術ってのは凄いことだ。もしかしたら何か秘密結社とか政府機関とかが働いてて、スーパーコンピュータを何台も動かしてこの迷宮を解き明かしたのかもしれないな。悪用されたくはないし、そうじゃないことを祈ろう。


 サーバーにアクセスした理由は何だろうな。

 土壇場になって仲間から聞いたか、土壇場じゃなくても俺の仲間を拷問して聞き出したか。信じられんが、本当に偶然極極極超天才ハッカーが見つけ出しただけなのか? 流石の俺でも画面の向こうのお前等がどんな状況に陥ってるかは分かりようがないからな、答えはお前の胸にでも聞いてくれ。

 だが、お前等がどんな理由でこのサーバーにアクセスしようと、このテキストサーバーに保管された情報の価値は変わらない。此処に保存されたデータは、絶滅寸前の魔法使いが見つけ出した切り札。この世界の『真理』と手を結び、動かしていく術式に使う呪文とか使う道具とか、まあそう言うことに必要な情報全部だ。

 お前等が馬鹿みたいに科学を追い求めたせいで、神様は完全にヘソを曲げてる。並大抵の妖精やら精霊やらの声は、最早お前等が馬鹿にした神の耳には届かないだろう。だから俺達は、『真理』に声を上げさせて神様の眼をこっちに向かせようと画策した。その成果の一つが此処にある。


 下地は俺が作ってやった。感謝しやがれ。

 後をどうするかはお前等次第だ。健闘を祈る。


 ――プラクトー星間通信サーバー管理主任 カノープス



**追伸**

 俺の仲間に拷問を仕掛けてこのサーバーに辿り着いたヤツ。

 悪いがこれを解いても使えるとは限らない。悪い目的で使われちゃ困るんでね。

 使いたけりゃ俺の仲間全員連れてきてみろ、バーカ!


  ――“ななしのごんべえ”



〔尚、このメッセージが表示されるまでにラブレターと思しきポエムを三千通確認し、全て第八ログとして確保しました。ログの内10%は、文章の癖から同一人物のものと推測されます。 :マスター〕

〔どうして第八ログに全部確保した! 言え! :ギルバート〕

〔業務だからです。 :マスター〕

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