▼主人公の職場

 電車に乗り込み、8駅分行ったところで降りる。

 改札を出て道に出るとすぐにあるスクランブル型の交差点を渡ると、もう目の前には会社が入っているビルだ。

そのビルは9階建てで、入口に唐突にエレベーターがあり、受付等は通らずに直接中に入る。


俺はエレベーターに乗り込み、少し迷いながら4階を押す。

一度面接で来ている場所なので場所は分かるし迷う必要など無いが、なんと言っても4、5、6階のところに俺が務めることになる会社の名前が無くなっていたのだ。

他の階には他の会社名があり、これは以前来た時と変わらない。


少し不安を感じているところで、エレベーターが4階に着き、扉が開く。


目の前には、ピシッとしたスーツでバリッバリ仕事をこなす、キラッキラな世界が広がっていた───


─はずだった。


語彙力が酷かったが、案の定目の前にはピシッとバリッバリ、キラッキラな世界は広がっておらず、しーんと静まり返り廓寥かくりょうな世界が広がっていた。

つまり、人っ子1人居らず、デスクやその他諸々の物が一つも、塵すら残さず無かった。


階を間違えたか?むしろビルを間違えたか?と頭の中で次々と整理をしてもたどり着くのは一つの結論だけ―


―会社が…無くなった……?


あまりのことに、しばらく呆けていると、奥の壁に1枚の紙貼ってあり、窓からの隙間風でペラペラとめくれているのに気がついた。


予想通り、その紙には、会社が倒産したことが書いてあった。

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