お菓子の家研究家
みなさんは、この世に存在する全ての家の中で、実はお菓子の家である割合はどのぐらいだと思われるだろうか?
そんなの無いって?
あっても100万分の1、1000万分の1ぐらいだって?
チッチッチ。
正解は18%。
実に、ほぼ5軒に1軒はお菓子の家なのだ。
そんなバカな、と思われる人も少なくないだろうが、これは実に信頼性の高い統計結果であり、よく調べれば政府の公式サイトで確認することができる。
つまり、あなたの友達や知り合いの内、5人に1人はしれっとした顔でお菓子の家に住んでいるわけだ。
よく思い出して欲しい。
友達の家に遊びに行ったとき、妙に丸みを帯びた柱が無かっただろうか?
それは間違い無く、フランスパンである。
黄色がかった白いタイルがあれば、それはホワイトチョコ。
お泊まりしたとき、ふかふかの布団で寝たと思っているだろうが、違う。
それはシフォンケーキだ。
そんなもの気付けないわけないって?
チッチッチ。
お菓子の家のオーナーが一番嫌うこと、それは自分の家がお菓子の家だと他人にばれるってこと。
理由はシンプル、バレたら食べられてしまうから。
あなたたちも、招いた友達が自分の家を食べ出したらイヤだろう?
つまり、お菓子の家のオーナーは全力でお菓子の家という事実を隠している。
オーナーは常に来客の視線を警戒し、お菓子を怪しむ目つきを感じ取るや否や、別のことに話を振って視線を逸らせようとする。
オーナーは必要以上に冷房を効かせて、いわゆるお菓子の<溶けバレ>を防ごうとする。
ベテランオーナーになると、逆にあえて壁を触らせたりするのだが、もちろんその部分だけ非菓子素材にしておくという高等テクニックを駆使してくる。
さらに、大きな声じゃ言えないが、オーナーには"奥の手"があるとか。
それはつまり、菓子バレした際に秘密を知った人間を消してしまうという……。
いや、消すといっても殺したりなんて物騒な話では無い。
では、どこへ消すか?
それは……お菓子工場。
それだけ多くのお菓子の家が存在すると言う事は、建築材料を作るための工場が必要であり、その工場で働く人材も必要になってくるのは当然のこと。
しかし、お菓子の家という存在自体がタブー視されている以上、公に工員を募集するのは難しい。
そこで、菓子バレした人間を死ぬまで工場で働かせることにより、口封じと人材不足解消を同時に解決しているというわけだ。
朝から晩まで飴ガラスやクッキーフローリング、パンケーキ枕などを作らされる日々。
給料は出るものの、外出は一切禁止されているので、買い物はネット通販のみ。
しかも、社員割引などは一切無く、お菓子を買う場合でも給料から天引きされるという恐ろしさよ。
……おっと。
お菓子工場の件に関してはお菓子オーナー界でも極秘中の極秘であり、これ以上説明したら私の身に危険が及ぶのでこの辺までにしておこう。
えっ? もう十分ヤバいんじゃないかって?
フフッ、心配無用だよ。
なぜなら、私が所属する<オカズの家オーナーズクラブ>は、3軒に1軒の割合で存在していて……。
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