追跡者

星成和貴

第1話

 コツ、コツ、コツ……

 会社からの薄暗い帰り道、私と同じペースで後ろから足音が聞こえた。

 誰かが後をつけている……?ストーカー?それとも、変質者……?

 少し怖かったけれども、振り返ると誰もいなかった。

 きっと、私の足音が反響して聞こえてただけ、だよね。

 そう安心して、家路を急いだ。


 けれども……


 その足音は私の足音とは少し違っていて……


 それに気付いた途端、怖くなり、走り出した。

 足音はそれでもついてきていて、もう振り替えることなんてできずに、ただ、がむしゃらに家に向かって走り続けた。

 最後の曲がり角を曲がり、私は安心して、身体が軽くなった。気付けば、背後の足音も聞こえなくなっていた。

 私は息を整えるために立ち止まり、深呼吸をした。


 その時、


 背後からまた足音が……


 ゆっくりと、近付いてくる足音が……


 ゆっくりと振り返ると、そこにいたのは、


 だった。


 かのじょわたしを見ていた。


 そして、歪に笑うと……


「ありがと」


 そう言って、ゆっくりと歩き去っていった。


「待って」


 何とかそう言いながら手を伸ばすと……


 身体が、


 透けていた。


 何?どういうこと?


 私、


 どうなっ……て………………

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追跡者 星成和貴 @Hoshinari

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