幼女ちゃんと少年君

@kurochaaya193

第1話少年君、幼女ちゃんにジュースを盗られる

 あるところに、一人の少年がいました。その少年君には日課があります。それは学校帰りにジュースを二本買い、一本を公園でのみ、一本を公園から家までの帰り道で歩きながら飲むことです。買うジュースは基本的に一本60円程の安いジュースですが、ほどほど貧乏な少年君にとっては贅沢なものであり、一日のストレスを吐き出すのにはちょうど良かったのです。・・・二本買う意味はあまりありませんが、なんとなく二本買っています。今日もいつもの公園に来て、少年君はジュースを飲みます。ベンチに座り、一本を横に置き、ゆっくりと、飲み干します。


「こく、こく、こく… …ぷはっ。ふぅ、いちごミルクは最高、ハッキリわかんだね!」

「同意」

「だよねっ!…こく、こく、こく」


 少年君はいちごミルク中毒者でした。それはもう、飲んでる途中に幼い声が聞こえても、全く気にせず、それどころか返事をする程度には。


「……ぷはぁっ!!…あぁぁ、おいしかった。よし、帰るか!」


 そういって、ジュースをつかもうと、手を伸ばしました。 しかしつかんだのは、いつものいちごミルク、ではなく、


「…」


 空になった容器を持った、幼女の頭でした。


「……(え、誰この子。てかなんで僕のいちごミルク飲んでんの?中毒者から対象を取り上げると中毒者は狂い死んじゃうんだよ?授業で習わなかった?)」


 少年君は混乱しながら、とりあえず幼女ちゃんの頭をなでます。少年君が大人だったら犯罪一歩手前ですが少年君は中学三年生。まだ捕まる年齢ではありません。しばらくなでつづけ、ハッ、と

少年君は正気に戻り、幼女ちゃんから手を離そうとしました。しかし、それを察知した幼女ちゃんはひしっ、と頭の上で少年君の手を拘束します。力を込めれば簡単に振りほどけますが、少年君はある程度優しいのでそのままなで続けました。そして、そのまま幼女ちゃんに聞きます。


「きみ、どこから来たの?あとなんで僕のいちごミルク飲んだの?」


 幼女ちゃんは答えます。


「おうち」

「こんな遅くにどうして公園にいるの?あとなんで僕のいちごミルク飲んだの?」

「お母さんとお父さんがけんかしてて、おいだされた。じゃまだって」

「…小さいのに大変なんだね。あとなんで僕のいちごミルク飲んだの?」

「ん」

「そろそろ帰らないと危ないよ?あとなんで僕のストロベリー牛乳飲んだの?」

「たぶんまだけんかしてるから…」

「そうなんだ。あとどうして僕の燃料飲んだの?」

「ん、もう少し、はなしあいてになってほしい」

「それはかまわないよ。親は一日中働きに行ってるからね。あとなんでマイストロベリーミルクドリンクしたの?

「ありがとう」

「かまわないよ。あとなんで僕のいちごミルク飲」

「お兄ちゃんは、なんでここにきたの?」

「ただの日課だよ。あとなんで僕のいち」

「どんなにっかなの?」

「ここでベンチに座っていちごミルクを飲むんだよ。あとなんで僕」

「これから、ここにきてたまにお話し相手になってほしい」

「まぁ、僕がいちごミルク飲んでる間ならね。あとな」

「ありがとう、お兄ちゃん。わたしそろそろ帰るね。ばいばい」


 そういって、話している間もずっとなで続けていた少年君の腕を名残惜しそうに頭からおろし、幼女ちゃんは去って行った。


「うん、バイバイ。あとなんでーーー

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