2017年8月まとめ

もうすぐ空が終わる

三日目の夜明けだ


あまつさえあまつさえ

あなたはわたしを裏切った

あなたはわたしを裏切った

なにもかもわたしが悪いのよ


緋色の空しか愛せぬのなら

黒い眼は拭えない

三角からの89度


暗くない暗くない

確かに前は見えている

足元ならば見えないけれど


六面体を切り裂いた

あとに残った曲玉は


月すら空から消え果てた

闇すら空から掻き消えた

あまりに無残

あまりに無念

死んだ世の中うつつの世

うつつの夜


カラカラ鳴った心の臓

口から吐き出しゃ蛇の餌

代わりに蛙を詰め込みましょう

そうすりゃ水でも生きられる


一年前には生きていた

十年後なら分かりゃしない

百年経ったがこの社

千年の頃に教えてくれた

万年補欠の駄神がわたし


息を止めたままおやすみなさい


あかね色した惨劇をまた

冷めた目をして見つめてる

みず色のラムネ瓶叩き割った


全ては現実を真であると仮定した上での解

命題に誤りはないと結論づけた貴方の過ち


左利きだ

左利きが彼女を殺したのだ

だから私は、彼女を許さない


ふわりふわりと暗夜の道を

一人で歩くは影法師


逆さ逆さで吊られてみては、ちょいと呼吸が苦しくて


わたしの中身は誰だっけ

カゴの中のコオロギとセミは未だに鳴き続けていた

冷蔵庫に仕舞い込んだ自転車の鍵


最後の魔女が死んだ

最期の魔法は何を叶えたのだろうか

あまり面白くもない話だ


うつつを抜かして早三千年

そろそろ夢から覚ましておくれ


心は既に空っぽで

躰はとうに朽ち果てた

それでもわたしは生きている

名前だけをただ生かされている

また、誰かがわたしを呼ぶ声がした


さかさま

さかさま

うろぼろす


むぎゅぅ


砂糖味の塩の過剰摂取

それが彼の死因でした


うつ伏せで潰れたあの子の遺体

最期まで目を背けたのね


ストローでガムシロップだけを啜る少女

もう六杯目だからやめなさい


紙食べたケモノ

破り捨てられそうな置き手紙


二秒後に黒い目が無くなる少女

もう許されそうな侵略者

世話無いね


黒い目黒い目

くりぬいた


逆さのお月様

蜉蝣の大合唱

壊れた蛇口から溢れ出したは人魚の歌声


誰かが言った

誰が言った

知らない分からない

けれど誰かが言った

わたしは知らないけれど

確かに誰かが言ったんだ



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る