2017年2月~3月まとめ
2月
アップルパイをひと切れかじり、キミの横顔を眺めてた
僕ではない誰かへと向けられたその笑顔を、僕は遠目で眺めてた
林檎が落ちた
待てど暮せど鬼は来ず、誰も僕らを殺しちゃくれない
賽の河原の片隅で、粗末な塔を積み上げる
溺れてしまえばどんなに楽か
目を開いても真っ暗だ
上も下もないほどに
狂いそうなほど真っ暗だ
ならば目を閉じ、おやすみなさい
三つ綴ってまた明日
九つ睨んでとおりゃんせ
二つ折りした勧進帳
五つになるまで破いてしまえ
水溜まりにはボクの影
雨上がりの昼下がり
何もないから
なにもないから
ふるい落とせば極楽浄土
摘み上げれば血の池地獄
黙っていれば生きてはいける
駄目ダメだめだ
だめなんだ
それじゃわたしは生き還らない
それじゃわたしは殺せない
水色澄んで、白色くすんだ
藍よりい出て、黒ずくめ
塵すら拾い、銀なら捨てる
いつぞやいつぞや、螺旋状
染めろ染めろ、光の色に
濡らせ濡らせ、苦しいほどに
仔猫のクセして、 くるるるる
三日前には死んでいた
二日間なら覚えてない
一日後でも問題ないかい
流線なぞって、バリ取って
反転しかける粘土細工
震えたあとで呼吸を止めた
そこから先は目を瞑る
耳をふさいでうずくまる
砕け散るなら逆手で掴め
後ろ側にはボクの寿命
炭酸水をひっくり返せ
そうすりゃ全てが全てに変わる
彼方へ奏でる願いは永久に
此方で響く誓いも永久に
青い空をなぞるように手を振った
悪魔が死んだと猫が泣く
意味も知らずに涙する
愛は無くとも情はある
さよならくらいは言ってあげるさ
3月
鎖は首輪に繋がれた
腐り始めた手足を隠し、いつか夢見た天使はもう思い出せない
狂い始めが一番肝心
理性が戻っちゃ壊れちゃう
右手の指を左手のそれでなぞる、撫でる
怖いくらいに僕の躰は細かった
こんな手でキミを繋ぎ止められるのかな
さよならくらいは言いたかった
ごめんねだけは言えなかった
必死に絞り出した最後の一言は雨音にかき消されたの
わたしは沼人形
死んでも動くスワンプドール 死神へのプレゼントは時計とランタン
北極星は見えなくなった
黒いベールはあの子の形見
ハッピーエンドに至るためのトリガー
どう足掻いても、わたしたちの結末に彼女はいない
いつになっても終わりはしない
エンドロールが訪れない
舞台の幕は上がったままで
だから僕らは嘆いてる
いい加減、殺してくれよって
流離えど、流離えど姿見えず
戸惑えど、戸惑えど理解できず
血迷えど、血迷えど……血迷った末に終演す
終焉す
甘いお菓子は悪魔の囁き
渋いワインは天使の裁き
だとすれば、この透き通る水は誰のもの
量産品でも揃えば調和
一点物なら欠ければ滑稽
欠けてよいのは月だけよ
塵すら掴めず歯を食いしばる
落としたピースは何処へやら
可憐な少女は狼と幸せに暮らしましたとさ
とてもじゃないが食べられない
あまりに苦くて甘過ぎる
少しばかりのお水をおくれ
音は消えた
光も失せた
さよなら
黒い髪の少女よ
ゼロとゼロとの合間で踊る
キミとボクとの愛まで謳う
棺の中ならひとつになれる
そっと紡いだ言葉の意図を、キミは乱雑に解いてしまったね
美しくはないけれど、真理は見えるはずよ
もっとも、キミには理解できないかしらね
チャイムはまるでわたしを急かすかのように鳴り響いた
追い立てられるがままに向かった先は人魚の住処だった
人魚の肉は不死の妙薬 仕方がないので殺して食べた
あまり美味しくはなかった
昔食べた人狼の方がまだマシだ
そろそろ本当におやすみなさい
できれば夢の中で逢いましょう
夜に落つる雫は月の涙
さめざめと泣け、暗夜の隅で
総てはうたかた、夢の中 誰もが信じた御伽噺は蜜の色
さあ、どうかわたしの手を取って
問題しかないのが問題だ
積み重なったテクスチャを一枚一枚剥がしていくのは面倒だ
土台ごと捨てられたのならどんなに良いか
それでもテクスチャは貼られたままだけど
落ちて潰れたさくらんぼ
隣の誰かは見ないふり
とぼけてばかりのコーヒーミルク
腐ってしまったさくらんぼ
ハリーハリーがメニーメニー
急かしてばかりの大将さん
あなたはそれしか言えないの?
まわりにいるのはじゃがいもばかり
ロンリーかしら
かわいそう
一回死んだ、潰れて死んだ
二度目も死んだ、渇いて死んだ
あいにく死んでも生き返る
誰かの叫びが聞こえる限り
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