巡り廻る四季

@rann_midare

4/19の西日

午後6時頃。太陽の出ている時間は日に日に長くなっている。

綺麗に植えられている木々の幹の間を西から橙色の光が通っていく。

その光は歩いている人々に当たって、東にその人の何倍もの長さの影を映し出す。

その影は人々に合わせて動き、全くずれることがない。


影とは、人が太陽の光に当たったことによって作られる”形”である。

影は人の形を誇張して現すが、中身は真っ黒で何もわからない。

だから、その人が大きな存在に見えるのは、きっと太陽があるせいだ。

太陽が沈んで夜になったら、大きな存在に見せてくれていた影がなくなって、その人はただの人になる。


人は自分より大きい存在に照らしてもらうことで、自分の中身を隠して存在を大きく見せている。

影を使って存在を大きく見せるなんてずるい気がするが、皆そうしている。だから仕方ないのかもしれない。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る