2.プロット

 今回は、より詳しい<プロット>の書き方、<起承>について説明します。


 前回、例として書いた<あらすじ>を参照してみましょう。


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 1-a.主人公には病気の妹がいる。

 1-b.妹の病気を治すには、ドラゴンの血が必要だと知る。

 1-c.しかし、ドラゴンと戦うには特殊な力が必要でそれを魂と引き替えに得る。

 1-d.血を手に入れるためにドラゴンが住む地に出発する。


 2-a.旅を始めた矢先、何者かに襲われ怪我をした脇役に出会う。

 2-b.やっかいな脇役だと思うが、主人公は脇役を連れて最寄りの町に向かう。

 2-c.しかし、脇役は町に向かうことを拒み、連れて行ってくれる代わりに必ず礼をすると申し出てくる。

 2-d.脇役は魔法が使えるため、主人公は仕方なく同行を受け入れる。


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 これだけだとやはり、雑な感じで、細かな話が伝わりにくいです。a、b、c、dの項目にエピソードを追加することで、お話はより具体的になります。


 旧小説講座でも説明しましたが、そのときは序破急でお話を作りました。今回は起承転結で作っていきます。


 例に出した部分は、大きな流れである<起承>の<あらすじ>です。


 その<起承>をさらに<起・起承転結><承・起承転結>で書いていきます。

(なかなか難しいです……。書けるかな^^;)


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 1-a.主人公には病気の妹がいる。

 1-b.妹の病気を治すには、ドラゴンの血が必要だと知る。

 1-c.しかし、ドラゴンと戦うには特殊な力が必要でそれを魂と引き替えに得る。

 1-d.血を手に入れるためにドラゴンが住む地に出発する。


 ▼ ▼ ▼ ▼


 1-a.主人公には病気の妹がいる。

 (1)主人公は妹と二人だけの家族である。

 (2)その妹が突然病に倒れる。

 (3)八方手を尽くすが、原因が分からない。

 (4)諦めかけたとき、村に旅の呪い師が通りかかる。

 1-b.妹の病気を治すには、ドラゴンの血が必要だと知る。

 (1)その呪い師は等価でいろいろな薬草を分けてくれたり、おまじないを教えてくれる。

 (2)主人公は家にあるだけのお金を持って呪い師を訪れる。

 (3)呪い師は妹の症状を聞き、お金は受け取れないという。

 (4)絶望した主人公に呪い師がドラゴンの血ならば助けることが出来ると告げる。

 1-c.しかし、ドラゴンと戦うには特殊な力が必要でそれを魂と引き替えに得る。

 (1)主人公はたった一人の妹のためなら何でもする、という。

 (2)呪い師から、アイテムを見せられ、これを使ってドラゴンの血を手に入れることが出来ると言われる。

 (3)売ってくれと頼むと、呪い師から魂と引き替えにするならと告げられる。

 (4)恐ろしい注文にいったんは諦めかけるが、病気の妹のことを考え、覚悟を決め、呪い師と約束をする。

 1-d.血を手に入れるためにドラゴンが住む地に出発する。

 (1)アイテムは一度しか効力がなく、一度使うと使った目的が何であれ魂は奪われると言われる。

 (2)魂を奪われた後どうなるのかと、主人公は呪い師に訊ねる。

 (3)魂を所有するものの奴隷となると言われる。妹ともに暮らすことも出来なくなるだろうとも。

 (4)全てを承諾し、主人公は妹を親切な隣人にたのみ、ドラゴンを探す旅に出る。


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 だいぶんお話が詳しくなりましたね。


 主人公の行動の発端・事の起こり・主人公の葛藤・主人公の動機の解決。


 以上が<起承転結>としてお話の<起><承>を結んでいきます。


 ところで<承>は割愛して良いでしょうか^^;


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 アイテムって何だ、妹の病気って何だ、という部分は<なぜなの?>の範疇で、プロットを作成する段階ではあまり必要ではないです。


 設定として考えている場合でも、プロットの流れを優先させてください。


 設定をプロットの段階で入れ込もうとすると、お話の筋自体が横道にそれ、目的がぶれてしまいます。


 そうなると、なにが伝えたいのか、読者にも作者にも分からなくなってしまいます。


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 良くありがちですが、全てを伝えようとして、細かくお話を書いてしまうことがあります。


 それはある意味良いことではあるのですが、おおむね失敗します。


 枝葉が付きすぎて必要以上に長くなるか、もしくは本来たどり着かねばならないお話のテーマからずれてしまうか、もしくは読者に残す余韻を全て奪ってしまいがちです。


 <謎解き>は必要ですが、読者に与える遊びの部分も一応必要なのです。これからどうなるか分からない部分も必要で、主人公の一分一秒、あらゆる角度から全て描写説明することは、無粋なことでもあるのです。


 現在は文学として名高い<源氏物語>などは、主人公が生まれてから死ぬまでの人生を描いています。しかし、よほどのものでない限り、人が生まれてから老いて死ぬまでの話を書く必要はないのです。


 ほかにも<三銃士>の原作はうんざりするほど長く、全ての人物のことの顛末まで全部書いています。それなのに、私たちが知っているのは、三銃士の一部であり、全てではないです。


 お話とは、人生を切り取った一瞬のドラマであり、長いお話の一部分でも良いのです。でないとよほど暇で他に娯楽がない限り、誰も読みません。


 <源氏物語>が大昔最高のエンターテイメントとされたのは、藤原道長という現実の人物をモデルにしていたのと、それ以外にこれという楽しみがなかったためです。<三銃士>も同じです。


 極論かもしれませんが、大昔はお話を書くための決まり事やメソッドがなかったので、何時間でも登場人物の些末な日常生活を描写したのです。


 しかし、現在、いろいろなお話が溢れている中、そんな物語の作り方をしているだけでは、読者は離れていき、もっと簡単にわかりやすく、物語を読み解けるものへと意識が向けられてしまいます。


 ですから、全てを描写する、という姿勢は悪いことではなくても、読んでもらう立場からすると、読者に非常な忍耐を強いることになるのです。


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 では、次回はより詳しい<プロット>の書き方、<転結>について説明します。

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