『ポムポム~ボクらの知らない虹色世界~』

アルセーヌ・エリシオン

第零章 『日常奇譚』

    『私の名は


     アルセーヌ・エリシオン


     これは


     遥か昔


     私がまだ人間だったころの


     仄かに懐かしい


     記憶の軌跡・・・』






   それは、


   私がまだ『ボク』だった頃に舞い降りた


   儚くも永かった夏の記憶。


   そう・・・


   私には忘れられない夏がある。


   懐かしき邂逅を携え


   永遠を纏った


   金色の夏が・・・







人間には、


天命を全うするまでに


3度の重要な岐路、


いわゆる『転機』が


訪れると言われている。


転機には必ず


種となる『きっかけ』が存在するのだが、


そのきっかけは、


日常でもあらゆるところに転がっていて


身近であるが故に


その安心感から、


ほとんどが見過ごさてしまう。


そんなきっかけに波長が合い


目の前に


いくつかの道が拓かれる瞬間がある。



そこが『転機』である。



しかし、大抵の場合、


その瞬間に


『転機だ』と気付けることは稀で、


後に


『転機だった』と気付くことが


ほとんどである。


あの夏の出来事は、


私にとって


まさにそのきっかけであり、


意図を孕んだ晴天の霹靂のような


転機となった。

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