左右投げの弱点

3番 陳 Ave 312 19HR 75 RBI

4番 八幡 Ave 297 30HR 84RBI

5番 守山 Ave 276 36HR 86RBI


ヤンキースのクリーンナップの破壊力は勢いを増した。


投手陣も八幡の迫力に押され、主力投手はチームの勝利の為に、八幡のリードに従うようになり、防御率もアップした。



そして首位のエンペラーズとは僅か1ゲーム差まで縮まった。



エンペラーはこの日、北海道デンジャーズとの三連戦の初戦を本拠地エンペラーフィールドで迎えた。


しかし序盤に先発の高峰が捕まり4失点でマウンドを降りた。


終盤に2点を返したが、結局4対2で敗れた。


二戦目は打線が繋がり、8対3で快勝。


トーマスJr.の30号アーチと高梨の26号満塁ホームランが飛び出し1勝1敗のイーブン。


三戦目はエース榊を投入したが、打線の援護に恵まれず1失点でマウンドを降り、後続に託したが、リリーフ陣が踏ん張りきれず2点を献上した。


打線も昨日の勢いはなく、デンジャーズの投手リレーの前に完封敗けを喫した。


そしてついにヤンキースと同率首位に並ばれてしまったのだ。


ここへきて選手の疲労が顕著に表れてきたのだ。



投打のバランスは1,2を争うエンペラーズだが、各選手のコンディションはあまり良くない。


対照的にヤンキースは、チームで孤立しながらも、八幡のバッティングが光り、連勝を重ねてきた。


そして首位争いの一戦がバーチーヤンキースタジアムで火蓋が切って落とされた。


エンペラーズの先発は廣澤、テコキーズは左腕の小谷をという発表とされた。



廣澤は攻めに攻めた。


しかし、殺人打線の前に滅多打ちにあう。


二回に八幡、守山の連続アーチ、5回に下位打線の連打を浴び5失点でマウンドを降りる。



結局この5点が重くのしかかり5対2で敗れた。この時点でヤンキースが単独の首位にたった。


二戦目は榊が先発のマウンドを任された。



榊はヤンキース打線を翻弄。


陳、八幡、守山と連続の三振を奪う好投。


打線はトーマスJr.が35号スリーランをスコアボード直撃という特大アーチでスタジアムを湧かせた。


ヤンキースファンはトーマスJr.がオールスター戦で打った、推定160㍍弾を【神の打球】と呼び、敵ながらトーマスJr.には応援をするファンが多い。


ヤンキーファンのハートをがっちり掴んだようだ。


この試合、榊が完封を記録し、4対0でエンペラーズがイーブンに戻す。


そして三戦目は左右投げのSohが先発のマウンドに上がる。


立ち上がりから球の走りは良く、ヤンキース打線は手も足も出ない。


そして中盤、3番陳の打席でいつもと違うグリップエンドの重いバットを使った。


このバットはミートに適し、アベレージヒッターが好んで使うバットでもある。


Sohは初球ストレートをインコースに投げた。


「ストライク!」


そして二球目を今よりボール半個分低めになるスライダーを投げた。


「ボール!」


陳は手を出さなかった。


続いて三球目はアウトローに決まるストレート。


陳は狙い済ましたかのように上手くライト線に弾き返した。


クッションボールをトーマスJr.が取り二塁へ投げたが、間一髪スケの足が早くセーフ。


続く4番八幡をフォアボールで歩かせ、5番守山の打席で陳がタイムをかけた。


「朋友、アイツ右で投げる球は左に比べると軽いネ。右で投げるストレートを狙い打ちすれば朋友の力なら軽くスタンドに運べる」


陳は元々左投げのSohが利き手ではない右の球の球質が軽い事を見抜いた。


守山は頷き打席に入った。


Sohはまず左でスライダーを投げた。

内角に外れるボール。


二球目は左で外角を突くストレート。


「ストライク!」


守山は見送った。


そして三球目は右でスライダーを投げる。


外角いっぱいに決まった。


「ストライク!」


カウントがワンボール、ツーストライクとなった。


四球目アウトローに決まるストレート。

(もらった!)


守山はフルスイングした。


打球はバックスクリーンに飛び込むスリーランホームラン。


均衡が敗れ3点を先制された。


この3点が重くのしかかりエンペラーズはまたもヤンキースに敗け越したのであった。


Sohの右で投げる球質が軽いという弱点も露呈され、エンペラーズはヤンキースに一歩遅れをとった。


またもやヤンキースが首位に立ったのである。


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