八幡VS守山
ハードパンチャーズの例の件以来、ひろしが人生相談をする【宇棚ひろしの人生はうだな(^-^)】のコーナーが人気を博し、週刊誌の売上発行部数が大幅にアップした。
それと同時にひろしの懐にはかなりの金額が入った。
爆弾発言で球団を潰し、巨額のマネーを手にしたひろしはある意味、最も危険な存在とされ、球界の関係者はひろしとは一切関わるなとの通告が出回った。
恐るべし、宇棚ひろし。
そしてペナントレースは佳境に入り、エンペラーズは2位のヤンキースとのゲーム差を2.5に広げた。
八幡加入によりパワーアップされたはずのヤンキースだが、八幡とナインの溝はまだ埋まっていない。
他の球団から来ていきなり4番の座に座るのだから、面白いはずがない。
4番の座を奪われた守山は、八幡とコミュニケーションなどとるはずもなく、かなり荒れていた。
八幡は孤立していた。
キャッチャーというポジションである以上、投手陣をリードしていかなければならない。
だが、埋まらない溝がある以上、八幡の出すサインに首を縦に振る投手はいない。
サインを無視して勝手に投げるのだから、打たれて負けるケースが多くなった。
八幡は考えた。
(このチームのボスは守山や。守山と仲良くなるか、守山をブッ潰せばこっちのもんや…)と。
そして試合前のフリーバッティングの際、八幡は守山に近づく。
「守山さん、ちょっとお時間よろしいやろか?」
「アァ?何だ一体!」
二人が並ぶ。確かに似ている。
守山は188㌢ 95㌔
八幡は190㌢ 93㌔
後ろ姿は全く一緒だ。
よく見ると顔立ちも似ている。
以前陳が「朋友(ポンヨウ ※ スケは守山をこう呼ぶ)は八幡と似ているネ」
と言った事がある。
「バカ言ってんじゃねーよ、 青幇
(チンパン ※陳は上海の悪童という意味で守山が付けたあだ名である。しかし実際はスケは台湾出身なので上海とは何の縁もない)
何であんな真面目ヤローとどこが似てるっつーんだよ?」
「似てる、似てる。声も顔もソックリネ」
そんなやり取りを守山は思い出した。
「何の用だ4番バッター様よ?」
守山が八幡に毒づく。
「あのな守山はん、オレの出すサインに皆、首を横に振るんや。アンタからピッチャー陣に言うてくれんか?八幡のサインに従えて?」
「アァ?テメーそんな事わざわざオレに聞いてこねぇで直接言えゃいいだろがよ!」
「アンタが言えばまとまると思うたさかい、アンタに頼んでるんや。このチームの事まだ解らんのや、オレは」
「何だぁ、バーチーの文句はオレに言え!!」
守山は短気だ。
すぐにケンカが始まった。
しかし八幡も常識人とは言え、パワーは桁外れにある。
「朋友、ケンカ止めるネ!」
陳が仲裁に入るが、二人のパワーに圧倒されてしまう。
巨漢二人が取っ組み合いのケンカをして止める者など誰一人としていない。
「ブヒョヒョヒョ、わっちにいい考えがあるぬ」
ベンチから塗呂オーナーが現れた。
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