激突寸前

榊とトーマスJr.が睨み合う。


「腰掛け気分で野球やってもらっちゃ困るんだよ、こっちは」


榊は怪我でメジャーの球団を解雇され、一年間リハビリを兼ねて日本の球団でプレイして、またメジャーに復帰しようとしているトーマスJr.が気に入らないらしい。


「 You bastard! I'm gonna kill you!(この野郎!ぶっ殺してやる!)」


トーマスJr.がバット片手に凄む!2メーター近くあり、100㌔の黒人を相手にしても榊は一歩も引かない。


「やれるもんならやってみやがれ、このくそゴリラが!」


「止めろ、お前ら!」


ベッドコーチの坂本が仲裁に入る。

また揉めてるのか…ナインは呆れ顔だ。


とにかく顔を合わせば、いがみ合う。


お互い言葉は通じなくとも、水と油の二人だから、罵り合う。



するとまた、どこでこの様子を見ていたのか、オーナーの阿佐が割って入った。


「にゃんたる醜態!あちきは嘆かわしいぬーーーん!」


「テメーはすっこんでろ!」


「 Fuck off!(どけっ!このくそヤロー!)」


またもや、榊とトーマスJr.のサンドイッチラリアットを食らい轟沈した。


「むぎゃっっっ!!」


これで3日連続担架に運ばれた。


(オーナーも不死身だな…)


大和が哀れむような顔していた。


「榊!トーマス!監督がお呼びだ!監督室に行け!」


垣原に言われ、二人は監督室に入った。


「またお前らか。何でそういがみ合うんだ?」


ヤマオカは椅子に座り、やれやれといった表情で、二人に言う。


「Hey Thomas, What on earth is the matter?(トーマス、何があった?)」


ヤマオカは榊よりもトーマスJr.に聞いてみた。


「 Sakaki insulted me! I'll never forgive him!(コイツは俺を侮辱した!許さねえ! )」


トーマスJr.が紅潮しながらまくし立てた。


「榊、何故そうトーマスに突っ掛かる?」


次は榊に聞いてみた。


「こいつは、日本の野球を舐めてんだよ!」


何となく榊のひがみにも感じるのだが。


「お前ら毎回ケンカしてるが、いい加減にしないか!今日で全部に終わりにしろ!」


ヤマオカはそう言うと立ち上がり、二人の間に入り、いきなりボディチェックを始めた。


「な、何だよ、監督!変なとこ触んなよ!」


「 Boss, I'm not gay(ボス、オレにソッチの趣味はない)」


トーマスJr.もやや困惑している。


「よし、お前ら今から勝負しろ!」



ヤマオカは何かを思い付いた。



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