オーナー視察
「Hey,Who are you, that person?(おい、誰だアイツは?)」
一塁側ベンチでは一人の男の周りに記者団や評論家達が囲み何か話していた。
「 An owner of this team.(このチームのオーナーだ)」
吉田は答えた。
静岡エンペラーズのオーナー、阿佐 太智夫(あさ たちお)が視察にきた。
阿佐は埼玉スーパーフライヤーズ消滅と共に、プロ野球界に新規参入した。
高品質なアダルトグッズにビジネスチャンスを見出し、株式会社キング&エンペラーを設立。
ネット販売にて爆発的なヒットで売上高は50億を越える。
阿佐はプロ野球選手になるのが夢であったが、高校時代、野球部の練習の際に打球が急所を直撃。
生来のビビりな性格に加え、打球の怖さをも経験して断念。
企業を興し成功を得て、球団を設立した。
今年は必ず優勝!とばかりに例年にない大型補強をやってのけた。
ウェイン・トーマスJr.は大型補強の目玉である。
実力はトップクラスだが、素行の悪さも有名なトーマスJr.を獲得して、大丈夫なんだろうか、という周囲の反対を押しきる形で獲得した。
「ぬー!今年はかなり補強したからぬ!絶対優勝ぬムヒョヒョヒョヒョヒョ」
オーナーの高笑いが響く。
そしてもう一人の大型補強は、昨年ペナントレースを制した、東京ゴールデンズからフリーエージェントした左腕のエース、榊 恭輔(さかき きょうすけ)
を獲得。
榊は昨年の最優秀防御率を獲得。
MVP投票では第2位であった。
昨シーズン 防御率 1.94 16勝7敗 奪三振194という好成績。
彼もまた東京ゴールデンズでは、絶対的エースであったが、素行は悪く、フリーエージェントしても国内で獲得する球団はいないだろうと思っていた。
しかし、阿佐の「何がなんでも榊を取るんだぬーーーーーん!ムヒョヒョヒョヒョヒョ」というバカの、いや、鶴の一声で獲得に名乗り出た。
問題児ばかりを集めた静岡エンペラーズが優勝できるのか……
評論家達の予想はBクラスという声が多かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます