AWAKE本編エピソード21
『Again Having』
オレンジとピンクのプレートのついた蛇口を捻れば混合した味が完成する。濃厚な甘味と口残りを良好にする酸味が喉を潤し消費量が減り自ら立ち上がった
検証する為だろう。衛生面は常に自動的に産出するsystemで果実合成から着色から完成に至る迄全てが新鮮で健康に出来ている。改めれば古びてはいる建物だが埃は無い。知り合いは最新型の流産改良精製機械らしい。導線が幾重にも繋がり隣の部屋を見れば答えが出る
「ったく、こんな機械があれば常にビタミンも接種出来て美容に良い暮らしが待っていてプチマダム気取りの堪能生活が待ってんぜ!ここの持ち主は何て名前だスカシ面!」
オリジナルドリンクを作り再び席に座るファトプリカ
「まぁ、確かに色々都合良く出来るからな。冷蔵庫の一番下を開ければ、材料ぶっ込めば料理も作ってくれっかんな。名前は……ROUGHBALGA【ラフバルガ】。聞いた事あんだろ?」
ぴくりと一瞬反応し鋭くなる口調で語る
「あの闘牛の突進18回連続で片手で止めたメチャクチャデカイいつも葉巻加えて″ニヤッ!″って笑う顎髭生えたオッサンか!?像を殴り倒したとか虎を回し蹴りで倒したとかバズーカ背負って砲丸投げみたいに余裕で世界記録更新したとか」
「いや、ソイツは良く知らねぇが本来なら主夫になる予定だったが奥さんが鉱石取りに行くから出て行くって言ったら殴り合いになったら故郷が潰れたとかか?派手に体当たりしたらラグビーのオリンピック候補が複雑骨折したとかか?全部噂だから分からねぇが奥さんの名前ペリカトリーヌアンジャルスとかだって話しだな。だったか?」
冷蔵庫の下から取り出したグラタンを運び取り皿を蛇口の下の収納入れから出て来る。食べながら会話は続く
「もうこの話しはおっかねぇからブツ切りだ。しかし、それなら安心出来るぜ。何せこれからがじっくり堪能するからな!」
移動の途中でSickから再び貸してもらった。懐から覗かせる報告書
「ところでスカシ面、何故この書類に興味を示さねぇ?持ち主に返すだけで」
「いいんだよ。何せその産物から得る情報がトンでも無ぇからここ迄に至ったがどうも目を通す気がしねぇ……よく判らねぇが」
何故だか脳裏に過ぎる直感が警戒した。だがあくまでも理屈では無い
「……そうか。スカシ面、てめぇの浅知恵なら確かに有り得る返答だ。けっ!これが世に出回れば世界中の首領達が地面から起き上がれなくなるな。しかも古代文明の少数民族が得た情報もしっかり書きやがって。けっ!」
左手を椅子の後ろに回しながら表情が歪むSick
「一体何を言ってやがる?」
ファトプリカは報告書を観覧しながら質問する。微妙な表情の変化が珍妙である
「″万物の真相″って本がポルトガルで今から58年前に発売したの知ってるかパー野郎?」
「……いや全くだ。基本、本は読まねぇから知らねぇ」
「まずは本の読み方すら知らねぇなら脳の思考経路を活発にする情報映像を想像して実行力で補う事だ。そうすればどのジャンルでも通用するぜ。だから面で勝負するダサ男は困り果てるぜ。ブルっちまう。うう……」
ページを捲る音と目の前を通り過ぎる車の走行音だけがある静かな空間。付け加える会話の声
「創造主はバカでかい世界を創り3体の摂理代行者にくれてやったって話しだ。確執が起きて世界を3つに割り干渉出来ない為に巨大な扉を創ったって話しだ。3つに切り取られた世界は独自の文明を創り現在に至ったって話しだ」
-何ブッ飛んだ話ししてんだ?-
「人類の始祖聖母オリテンシアが冒涜と背徳で産み出した異種がこの世界に干渉して数年前に馬鹿げた事態が起きた所迄書かれた内容だ。スッゲー!」
-ソレ、信じるのが凄くねぇか?-
「とりあえず、理解完了だ!生きてぇ場所がある。USBの話しは無しだ。だっ広くて障害物が無い最適な場所に行こうぜ」
「隣の部屋が最適だ」
「さて、無事に目的地に着いたね」
VERMILIONを途中で降ろし3人は歩く。広い倉庫が並ぶ工業地帯をゆっくりと。蒸気が煙突から吹き上がり、作業者達が通り過ぎる。場違いな3人ではあるがCARRYが白衣を着ているのである種、社会見学にも第三者からは取れる
「ここに匿うように指示したから大丈夫な筈。どうせ封鎖した場所は感染症試験で足を止めざるを得ない。その場所から密かに入り強奪した……って所かなぁ?」
数字が壁に書いてある倉庫で足が止まる。少年は表情が殺意にも近い程の陰りを宿す
「2人共覚悟は決めてくれ。細胞変化が分子レベルなら取り返しがつくか解らない」
「それって規模ならの話しに戻ると現象発動も有り得る?」
「組織媒体が増殖だから無い。拒絶反応ゆえだよ」
「化物がまた増えたのね。何なのかしら」
その時少年は、ジャケットから本と掌サイズのノートをCARRYに渡した
「僕の仮説と数式で表した確率性総体理論だ。本と照らし合わせて見て。CARRYは外を見てて」
「何この本?今から約60年前に発行されたの?」
「それだけじゃない。著者を見れば馬鹿げてる。これが一度でも時の権力者が知り画策したのだとしたら喜劇でしかない。僕の後ろをゆっくりとついてきてプレマテリア」
頷き、扉を開けた少年
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。