SUCCESSION OF EROSION
MAKER(メイカー)
CRASH THE ANTHEM ACT
2007年6月15日
瓦礫と焦燥
死体と異臭が充満する崩壊した神殿から重症の肉体を這いずりながら声を出す
「ま、まてよ……おい」
大破した鉄柱や天井、踏み潰された死体の山
あまりに無残な死を遂げた沢山の人々
隔離された都市の中枢にある大神殿で起きた大量の殺戮
元凶と思わしき人物に叫ぶ
「ザケてんじゃねぇぞクソがぁぁ!まだ、終わってねぇぇぇ!!」
言葉は届かない。足跡は遠退き
意識は途切れた
隔離都市で起きた決して歴史で語られない。闇に葬られるだろう
CIPHERD(サイファード)07事件
PROLOGUE
「探し出せ」
Dark-In-Room
狭い個室を支配する透き通り突き刺すような鋭利な言葉。その姿は氷のように冷たく、繊細な肌と華奢な体型をした長身の女性である
。ショートヘアーの青髪がより冷ややかな姿へ印象を与えた。長い睫毛と透き通る瞳。依頼人であり、確固たる地位を築いた若き支配者である
「あの都市から依然、行方が判らない。死体も発見されていない事から生存が発見されていない……手段は問わない。調べ尽くせ」
An order is disturbed
対象は静かに耳を傾けながら視線を背後に移し歩き出す。座っていた木製の椅子を持ち
強引に窓に投げ捨てた。窓ガラスが割れ地面に落ちる瞬間、爆発し燃え盛る芝生!炎が浮き彫りにした人影向けて右手を最速で動かし拳銃を取り発砲!!崩れ落ちる人影
「追っ手がいたのか?」
I laugh dauntlessly
笑みを浮かべた薄紅の唇は潤いを持ち、瞳は銀色の輝きの奥に狂気を宿している。標的を逃さない豹のような捕食獣の輝きを宿し、表情が物語る凶悪さ。外見とは想像もつかない程、美少女である
「さすがは裏世界の伝説化した【絶対者】と対なす存在だな。頼んだぞ」
The threat to which I consent
月明かりが照らした部屋で語られた詳細。たった一つの目的の為に動き出す
「捜し出せ。対象は裏世界恐怖の象徴……CODE-NAME-SARGTANAS」
灰のかかった銀色の髪が乱雑に散らばる髪型が妙に不可思議な魅力を放つ。長身で体格の良い身軽さを強調する紺のジャケットに黒いシャツと紺のズボンで歩き、鉄芯の入った茶色のレザーブーツを慣らし街並みを歩いていた
青年の名はSick。この物語の主人公である
ークソが。尾行が消えねぇ……厄介な奴に出くわしちまったー
悪態が良く似合う程、粗暴であり一般的には印象も良くない。だが、然程悪人とも呼びがたい性格である
隔離都市で起きた事件の追っ手が迫りつつあった。走る!逃げる為では無く迎え撃つ為に
。行き交う人々は徐々に混乱を招いた
「マジかよ!」
悲鳴が木霊する!背後から銃弾が飛び交う!首都のメインストリートで引き起こる惨劇。車道へ飛び出し乱雑に駆け抜ける為、自動車が障害になった!急停止する車のボンネットを飛び越え反対車線へ出ながら速力を上げ、歩道に躍り出て更に速力を上げた
「ザってぇなクソが!」
迫り来る強襲達。その正体は裏世界を君臨せる【絶対者】の刺客達だった
他車線道路で玉突き事故が発生し、更に被害が拡大した。付け加え刺客が迫る事態を更に悪化させる……強行!
ー敵は減らすしかねえー
歩道から再び道路へ飛び出し事故現場へ走り跳躍!空中で背後に弾丸を撃ち命中させ着地し車と車の間を駆け抜ける。歩道の狭い繁華街へ突入し、通りすぎる最中ラーメン屋に入り、子供が楽しみに食べようとしていた小さい器のラーメンを奪い窓ガラスを割り逃走。
走りながら異に流し込み背後の刺客にラーメンの器を投げ更に速度を上げた!
ー中国マフィアのシマ一帯か!納定金をたらふく差し出す変わりに好き勝手に商売してやがる。スラム街くらいひでぇー
散乱とする繁華街の衛生面は明白である。あちこちに廃棄物が散らばる無法地帯に気にも止める余裕は無い。何より目当ての場所へ間も無く到着する
ー見えたぜ!あの場所だー
ピンク色のネオンが照らす場所へ足を踏み込んだ。【売春街】である。中国マフィアが共和制国家メキシコ国境付近の無法地帯を一大企業の一環としてある密売を持ちかけたのは
裏世界の権力者である財政界の懐刀であった
ー下手に暴れまわるしか無ぇな。このザケ切った騒動を押し付けるしかねぇー
政界の欲捌け場として設けた金蔓の街は身分を隠すのにも適していた。元々、この場所へ私用もありうってつけだった。地の理を活かし追っ手を巻く事に成功した
ーうし!これでー
妖しくも性欲が注がれる街並みを歩きある店を発見した
「この店か?」
周囲を警戒し店内へ入っていった
「あらま。お越しでありんす」
「るせぇ、エセ花魁が。暫くじゃねぇか」
鮮蘭に輝かしい【和】で彩られた空間で幾重に重なる着物を着る女性。官僚ですら中々お目にかかる事が無い程の格質の高い花魁である。緩やかでありながら品位のある仕草でSickをおもてなした。無論エセではない
「崔那(さいな)。ある情報が知りてえ」
「望む価値に隔てあらば」
「等価で渡す」
ポケットから取り出したのは花柄の簪(かんざし)である。りんと鈴がなり、気品があり髪に差し込む崔那。微笑んだ
「メキシコの国境を超えてぇ。すぐにでも」
「火急と並用せして、包むでありんす」
胸元から取り出し、墨を研ぎ筆で一筆する。手紙を渡し、ニヤリと笑うSick
「サンキュな。助かったぜ」
「今一度、時間あらば」
「ん?どした?」
頬が火照り、肩が露出する。艶と美貌が露になり手を伸ばすSick。その時、下の階から激しい声と音が聴こえた。立ち上がる
「またな崔那!埋め合わせは後ですんぜ」
飛び出すように畳を強く踏み部屋を飛び出す。丁寧にお辞儀をする崔那。足跡が更に激しくなった
「何とか、派手に暴れる場所まで行くか。へっ!」
AWAKE
CHAPTER2
Succession Of Erasion
数日前の裏路地
「全く。厄介な依頼だよ」
歩く姿は飄々としていて啓発な態度だが内情の芯が深く濃い。薄い生地の服を着用する理由は身軽さを重視しているからだ。依頼は大概受けるが、要件や条件次第で合否を変える。ただ気紛れなだけだが
「な………馬鹿な」
平伏した悪漢達は特に目的があるという訳では無い。何となく
「気に入らないんならさ。相手を選ぶ器量を持ってから選別するべきだ。時間まだあるから街をぶらついたらこのザマか」
ウェーブのかかった茶色い髪が射影と重なり、不気味さを印象付ける。何となく頭皮を掻き、溜め息をしたら興味も失せた
「じゃあな。もう顔は合わせない」
その時、反射的に回避した。銃弾が頬を掠めた刹那、懐から取り出したナイフを投げつけ、頭部に突き刺さる
「無駄だったな~」
間延びした声で、立ち去る
。ヨーロッパとイベリア半島に位置するスペインの閑散とした街並みで起きた裏世界の衝突
男の名はベルサジュ・シェイダー
暗殺に名を馳せた反社会人である
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