かんせん
粟国翼
かんせん
かんせん
うるましょうがっこういちねん
となきじゅん
おかあさんがせきをしたよ。
おかあさんは、ようちえんの先生をしているよ。
おかあさんは、とてもがんばりやさんなのでかぜくらいではようちえんをやすんだりしないからボクもかぜひいてもがっこうはいくよ。
がっこうにいくと、クラスひとがはんぶんくらい休んでいたよ。
「みんなかぜだって」
て、ともみーがいってて先生もおやすみだったからこうちょう先生がきょうはみんなお家にかえっていいっていったよ。
「みなさんまっすぐお家にかえりなさい」
て、こうちょう先生がいったけどともみーがあそんでから帰ろうといったのでこうえんでゆうがたになるまであそんでからかえったよ。
お家につくころにはくらくなってたよ。
おかあさんがおこってるとおもったからそっとドアをあけ中に入ったよ。
「けほけほ」
くらいへやでおかあさんがせきをしたよ。
きょうはちょうしがわるいからカップメンを食べてねっておかあさんはいったよ。
カップメンはおいしかったよ。
食べておふろに入ったらねむくなったからねようとしたんだけど、おかあさんがかぜがうつるといけないからきょうはひとりでねてねっていったから、ボクはいつもみんなでねてる部屋でねて、おかあさんはテレビのとこのソファーでねたよ。
けほけほ。
けほけほ。
はぁはぁ。
げほ、かはっつ!
おかあさんは、よるのあいだくるしそうにせきをしていたよ。
あさになったよ。
いつもはおかあさんがおこしてくれるのに、きょうはおこしてくれなかったからおきたときにはもう9じになっていたよ。
びっくりして、ちこくしちゃうって、いそいでおきたよ。
「おかあさん! なんでおこしてくれなかったの?!」
ふすまをあけておかあさんにきいたよ。
「……」
「おかあさん?」
「……」
「おかあさん?」
「……」
おかあさんは、ソファーにすわっていたけどいくらよんでもなにもいわなかったよ。
めちゃちゃめちゃ。
ぴちゃぴちゃ。
おかあさんのあたまがゆれたよ。
「おかぁさん?」
ぼこっ。
ぼこっ。
おかあさんのあたまがふくらんだよ。
ばくっ!
あたまがわれたよ。
「おかあさん?」
おかあさんのあたまから赤に白の水玉もようのおおきなキノコがはえたよ。
「おかあさん?」
「ぐぅぐぅ」
あたまがわれたけどおかあさんはねていたよ。
「どうしよう」
キノコが、あたまでもごもごしてるのにおかあさんはきもちよさそうにねているけど、ちがたくさん出てるよ。
先生が、おおきなけがをしたらからきゅうきゅう車をよびましょうといっていたからおうちのでんわから119をおしたけどでんわはツーツーってしてなんかいおしてもきゅうきゅう車にでんわできなかったよ。
「こまったなぁ」
いたそうじゃないけれど、あたまにキノコはへんだからボクはいつものいくヨシタカ先生のいるびょういんにヨシタカ先生をよびにいくことにしたよ。
「おかあさん、いってきます」
もぞ。
もぞ。
もぞ。
いってきますをしたらキノコがもぞってしたよ。
きもちわるいなぁ。
げんかんから外に出たよ。
「あれ?」
外にはだれもいなかったよ。
もう、9じだからみんながっこうへいっちゃったのかな?
ちこくだけれど、いまはおかあさんがキノコだからヨシタカ先生のところにいくことにしたよ。
ヨシタカ先生のびょういんは、がっこうをとおりすぎてほどうきょうをわたったとこにあるよ。
ボクは、はしりながらあるいたよ。
しんごうのところでは、ちゃんとあおしんごうをまもってみぎとひだりとみてきちんを手をあげてわたったよ。
けどね、きょうはいつも走ってるくるまなんていちだいもなかったよ。
がっこうをとおりすぎて、ほどうきょうをわたってヨシタカ先生のびょういんについたよ。
「あれ?」
いつもかんじゃさんでいっぱいなのに、きょうはだれもいないよ?
「あれれ?」
どうしよう。
ヨシタカ先生をさがいないと、おかあさんのキノコがとれないからヨシタカ先生をさがすことにしたよ。
「せんせーい! ヨシタカせんせーい!」
びょういんはいつもよりくらくてこわいけど、おかあさんがたいへんだからなかないよ。
けどこまったなぁ。
みつからないよ。
ガタン!
「え?」
うすぐらいろうかをあるいていたら、びょうしつのどあがあいてだれかころんだよ。
「あ! ヨシタカ先生!」
ころんだのはヨシタカ先生だったよ。
「先生! だいじょうぶ??」
ヨシタカ先生は、ころんだままうごかないからびっくりしたよ。
「先生! 先生!」
「……ぁ、ぐぁあ、きみ、渡名喜さんの家の___ごほっつ!」
ゆすったら先生はくるしそうにおきたよ。
「先生、だいじょううぶ?」
「!?」
ボクをみて、ヨシタカ先生はびっくりしたみたいなかおをしたよ。
「まさか、無事なのか? なんといもないのか?」
ヨシタカ先生は、ボクのうでをぎゅってしたよ。
なんともないって、なんのことだろう?
「ぁああ、なんて事だ! もうすぐこの世界には人類と呼べる存在は君しかいなくなってしまう! 許してくれ、もう、我々にはどうすることもできない! この感染を止めることができなかった!! ふがいない我々を恨んでくれ! だから、せめて君だけでも!」
ヨシタカ先生はそういって、いつものおいしゃさんのふくのポケットからちゅうしゃをだしたよ。
ぐさっ。
さしたよ。
ヨシタカ先生は、びっくりしてないたボクのてをよくもんで『すまない』って『きみはじんるいさいごのきぼうだ』っていったよ。
それからすぐに、ヨシタカ先生のあたまからキノコがはえたよ。
ヨシタカ先生もおかあさんとおなじでうごかなくて、キノコだけがもぞもぞして、ボクはこわくなって、はしってびょういんからおうちかえったよ。
「オカエリナサイ」
おかあさんがげんかんでまってたよ。
けど、おかあさんのかおははなかうえがキノコになって『オカエリナサイ』といったのはキノコだったよ。
かんせん 粟国翼 @enpitsudou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます