第81話 2016年 ドラマ「水晶の鼓動 殺人分析班」


□水晶の鼓動 殺人分析班:WOWOWプライムにて2016年11月13日-12月11日(全5回)

□製作会社:WOWOW・ドリマックス

□原作:「水晶の鼓動 警視庁殺人分析班」/麻見和史

□監督:内片輝

□脚本:八津弘幸

□プロデューサー :松永綾/北川雅一

□出演者:木村文乃/青木崇高/渡辺いっけい/北見敏之/藤本隆宏/小柳友/古川雄輝/神野三鈴/勝村政信/仲村トオル





まず見た方有りきのネタバレ評です。ご注意願います。






リアルタイムではWOWOWの連続ドラマWの枠で放送されたものの、私の初見は最近のCATVのファミリー劇場の一挙放送です。ドラマ殺人分析班シリーズは「石の繭 殺人分析班」「水晶の鼓動 殺人分析班」「蝶の力学 殺人分析班」があるものの、秀逸は「水晶の鼓動 殺人分析班」でしょうか。


木村文乃演じる警視庁捜査一課十一係の如月塔子が、人間味溢れ出るメンバーと共に難々事件に挑む極上のクライムサスペンス。


面白いのならば地上波であるべきでしょうが、如月塔子が至って普通人いやひたすら努力の積み重ねの人物像なので、地上波のキャッチーな刑事物の企画は絶対通らない事でしょう。

それならWOWOWの有料放送もでしょうけど、そこがドラマ作りが緻密です。それは脚本の八津弘幸の手腕が大きいです。代表作「半沢直樹」を凌駕する、役者のブレス位置と個性がそのまま反映された台詞がもう、勉強になりましたしかないです。


ただここは演出との相性があって。人物像浮かばせる為にシーンを長くするも、放送回数が短い為に早々と正解を出したりと、ここは時間軸飛ばす為にカットを多く挟んでも良かった気も。そして人物像の輪郭を上げる為に、ナレーションを無しにしたもののやや長いかなの印象が有り。ナレーションにある程度委ねた方が、5回枠に相応しい緩急を生み出したかもしれないとは思います。


あとは「水晶の鼓動 殺人分析班」のクライマックスの判断が、統括がそう舵を切ったかも垣間見得ます。

起爆装置のどっちになるのですのですが、脚本上ではどっちの配線を切ったか、クライムサスペンス上見せたくはなかったと思います。でもそれは最後の最後の1カットで敢えて見せてしまいます。多分WOWOWの有料放送上、モヤモヤしたまま終わらせられないの合議かと思います。無かった方が如月塔子とトレミーの繋がりはどうなので、考察したがる視聴者のリピートエンドレスになった話題作になったかもとです。

ただ刑事物は中年以上のファンが多いので、もどかしさは無しの判断で良かったと思います。それは映画版になった時の余韻として取っておきましょう。


最後に何よりはでしょうか、木村文乃。女優である以上転換機となる作品は必ずやあるのですが、不思議と木村文乃には見当たらない、未だ長い坂を登る稀有な俳優です。


殺人分析班シリーズでは主役に抜擢なのですけど、如月塔子が冴えないのか、木村文乃が冴えないのかの境界線を見事に綱渡りしています。見終えた後に、ああ如月塔子独自の成長なのか、木村文乃凄いなが浮き彫りになります。どこのシーンでもエゴを出せたのですけど、引き算のまま終えて余韻を残すの人物像も有りなのかと、膝を屈しました、見事撃沈です。


この先、木村文乃実は凄いの評価がやっと巷間に上がるでしょうけど、そこは足し算掛け算の木村文乃であって、君はまだ木村文乃を知らないとクスッとしてしまうかもしれません。


嗚呼、勿論木村文乃ファンです。「徹子の部屋」で津軽の血を引くのかと知った時に、そうそうの共感がただ湧きました。津軽美人をもっと見てけへだばと。

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