第64話 2019年 MV「角を曲がる/平手友梨奈」永遠に角を曲がる -平手友梨奈と私達の程良い関係-
今回の平手友梨奈エッセイ。実は音楽人に投稿してボツになった原稿です。
何度か音楽人に投稿しているのですが掲載の正解が全く分かりません。
そこは否定批判記事は駄目でしょうし、ライナーノーツ形態も如何でしょうし、やっぱりアーティスト応援に徹しないと音楽事務所の兼ね合いが…と業界界隈を素人が模索して良いものなのかなと。
それ以前に誤字脱字チェックが一際厳しいかともです。
今回の平手友梨奈はいけるかなと思ったのですが。よく考えたら平手友梨奈の音楽性より踊りに注視していますし、何より平手友梨奈は欅坂46を脱退していますから商業筋の取り扱いもさぞ難しいのだろうと最近はたと気づきました。
ここからが本文です。
M-ONの欅坂46のMV特集見ていての。ああこれは、また平手友梨奈ソロ作品扱いなななんだなと、日々執筆の傍らBGMとして見ていたのですけど。或る日、このMVは傑作ではないかなに至り調べ始めました。
□平手友梨奈/角を曲がる
□作詩:秋元 康
□作曲 : ナスカ
□配信日:2019年10月9日
□MV監督:月川翔
□振付け:CRE8BOY
なんと言う事でしょう。欅坂46のカップリング曲だと思っていたのに、平手友梨奈の配信作品だったのですね。しかも、或いは、最後の楽曲作品になるかもしれないと思うと切なさも倍増でしょうか。
作詞の秋元康は相変わらず難しい曲を提供するなと思いつつ、平手友梨奈と秋元康の距離感ってどんなものなのでしょうか。
そう、2016年発表の3rdシングル「二人セゾン/欅坂46」を聞いたときに、ああ秋元康もそう言う気持ちなのだなと思いました。平手友梨奈は思ったより巣立って行く。別れ行く景色の中で眩い程に輝く程の存在が平手友梨奈。思えば2020年1月23日の欅坂46の脱退迄その心地良い感傷に私達は浸っていました。
でも秋元康は残酷な程に「角を曲がる/平手友梨奈」でこう唄わせてしまいます。
”みんなが期待するような人に絶対なれなくてごめんなさい”
MVと言うより、アコースティックな楽曲の情報量が半端無いので、この歌詞に気づいたのはごく最近の事です。秋元康が詞で言わせてしまった感は有りますが、平手友梨奈の吹き溜まっていた感情を敢えて引き出すには止む得なかったと思います。
彼女、平手友梨奈の素養はアイドルでは無くアーティストそのものです。各々のロック遍歴を思い出して見て下さい。クラシックロックも良いけど、同世代の同輩の声でそのメッセージを聞きたいのですよと。それがハマったのが尾崎豊・渡辺美里・岡村靖幸等々。時代はどうしてもカリスマを要求しています。平手友梨奈は今後の活動次第では二回りも大きくなるやもしれません。
でも、私個人としてはそこまで背負って欲しくないものです。
「角を曲がる/平手友梨奈」の情報量がかなり多いと書きましたけど、そもそもはMVです。MVの監督は月川翔。映画「君の膵臓をたべたい」の監督でも有りますけど、その原作にない世界は有りか無しで言えば、有りの正解を出した異才の監督に尽きます。
MVの二律背反の世界を縦横無尽に駆け抜ける手友梨奈の描き方は、未だ答えが出し切れませんけど、平手友梨奈の良さをただ描いています。それは振付けのCRE8BOYのコンテンポラリーの緻密さも有りますが、平手友梨奈のミディアムな重力を存分に引き出しています。
バレエ経験者であれば軽さから重さ迄の重力の表現を求められます。ただ今MVでは敢えてPOPなミディアムな重力で貫いています。一見すれば平手友梨奈を真似出来る振りでも有りますけど、そこは曲調に合わせた止めに入る演舞を見せての、どうしてもの唯一無二の存在足らしめています。平手友梨奈はジャンルを飛び超えての新手のソリストなのだなと感じ入ってます。
ただ、この先も平手友梨奈は永遠に角を曲がる。であろうです。
2020年5月現在でもまだ18歳。希望と可能性しか有りません。
何れの比較か、取り敢えず記しておきます。跨いだライバルグループAKB48の大島優子に興味を持ったのは卒業寸前の20代半ば。そこでの感想は、ああ二十歳等身大の演技していた大島優子を見たかったなです。ポテンシャルが有り余る程に、等身大の配役の時でしか表現出来なかった演技は凄まじかった筈なのにとです。ここ秋元康は本当に業が深いものと常々思っていました。
そして、今の平手友梨奈は平手友梨奈です。もう欅坂46の平手友梨奈では有りません。若人故の齟齬を全て背負い込む事はしなくて良いのです。
それでも皆が平手友梨奈に何かしらの期待してしまうのは、そのカリスマ性故かもしれません。歌手・役者・ソリスト、いや何にでもなれる事でしょう。そこでまた背負い込むなら、正解を出せずとも角を曲がれば良い事です。それが永遠に続いても、ファンなら暖かい目で見れる筈ですから。
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