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第55話 2019年 雑誌「Sound & Recording Magazine (サウンド アンド レコーディング マガジン) 2019年 11月号 (CD付き) 」 所謂SOFT BALLET特集
第55話 2019年 雑誌「Sound & Recording Magazine (サウンド アンド レコーディング マガジン) 2019年 11月号 (CD付き) 」 所謂SOFT BALLET特集
■誌面概要
SOFT BALLET
ソフトバレエ : 1989-1995 / 2002-2003
伝説的エレクトロニック・ボディ・バンドの追憶
◎ディスコグラフィ~「SOFT BALLETの軌跡」
◎関係者インタビュー
・加藤恭次(ディレクター/元アルファレコード)
・寺田康彦(エンジニア)
・上領亘(サポート・ドラマー)
・杉山勇司(エンジニア)
・石塚真一(エンジニア)
◎“BODY TO BODY 30th Anniversary Remixes”インタビュー
・yukihiro(ACID ANDROID、L'Arc-en-Ciel)
・上田剛士(AA=)
・砂原良徳
◎アーカイブ
・ライブ・イクイップメント'89(キーボード・マガジン1989年12月号)
・ライブ・イクイップメント'91(キーボード・マガジン1992年1月号)
・『MILLION MIRRORS』(本誌1992年11月号)
・『INCUBATE』(本誌1994年1月号)
・『FORM』(本誌1995年6月号)
・『SYMBIONT』(本誌2002年12月号)
・『愛と平和』回想インタビュー(本誌2006年4月号)
・平沢進 × 藤井麻輝(本誌1993年6月号)
・『DEVIATION FROM SYSTEM』(本誌1996 年4月号)
◎メール・インタビュー
・藤井麻輝
・遠藤遼一
【付録CD】“BODY TO BODY 30th Anniversary Remixes”
1. BODY TO BODY ACID ANDROID remix
2. BODY TO BODY TAKESHI UEDA(AA=) remix
3. BODY TO BODY YSST remix
ややニュースフィードが「サンレコのソフトバレエが…」と騒がしいので、また転売の輩が過去の雑誌でやらかしたかのかと思いきや。まさかのSOFT BALLETの30周年の特集記事。
まあいつものサンレコは、月を跨いで新町の成田本店の楽器書籍売り場に買いに行くのですけど、品切れるのも癪なので月内に買いに行きました。無難にもいつも定数だったので、SOFT BALLET人気で品切れは杞憂だった様です。青森市はですけど。
ついでに言えば…今までは近くの成田本店でサンレコは買えていたのですが、方針の変更か、表紙が星野源とかperfumeの有名人でないと置かなくなったので、新町の成田本店に買いに行く羽目になる訳です。
お取り寄せは確かに出来ますけど、書籍ならば一回パラっとめくり上げてから買いたいのが信条ですので、そういう手順です。出版不況ってこういう小さな積み重ねですよね。返本する手間も億劫になって来ているのかと何となく察してしまいます。
そして誌面ですよね。いざ手元に置いても正直驚きを禁じ得ません。このEDM全盛期に、音色エレメンツが極端に華美では無いElectric Body Musicがフィーチャーされる意味が未だ理解出来ず。編集長の趣味と独断とは謳われていますけど、意に反してもサンレコはそういうファン雑誌では無いしが、どうしても誌面に漂ってます。
当時のレコーディングの教授は温故知新も有りましょうけど、アマチュアミュージシャンが欲してるマスタリング手法やEQのカーブまでは言及されておらず、やや肩透かしの面もあったりです。同窓会乗りなら付き合いますけど、多分読み返す事は少ないかなと。
ただ参考になったのは、上領亘さんのライブセッティング秘話ですよね。1991年の愛と平和ツアー前後は、当然ハードディスクレコーダーも無いし、ADATレコーダーの普及もまだです。インタビューのそこには想像の遥か上にあった、只管MIDI環境の同期との戦いは思わず翻筋斗を打地ました。当時のMIDIのクリックがそこまで正確なものかと。あの手数なのに疲れ知らずで、単なるクリック音では無くシーケンスドラムと共存出来るものなの。
インタビューは和やかに進むものの、ボーカルを聞きながら、シーケンスドラムを活かしつつ生ドラム殴打出来るなんて、本当に出来るのものなの、いや出来るからこそあの時期での非の打ち所がない演奏である訳です。凄いよ上領さん、この記事だけでも十分買いです。文系音楽雑誌では引き出せないインタビューです。その勢いから藤井麻輝と遠藤遼一にも敢行すべきだったと思います。今更ですけどね。
そう、レコーディング記事ばかりに終始してますけど、前期SOFT BALLETって本当にライブバンドだと思うのですよ。
ドラムの上領亘さんとギターの石塚伯広がサポートに入らなかったら、何と無くB面曲扱いのBlood/EXIST/SOMETHING AROUND等々が息吹く筈も有りません。ライブですとここまで印象が違うかは、古参のSOFT BALLETなら分かって貰える筈。
これは案に前期SOFT BALLETの公演映像作品が商品化されたところで、真摯に答えが出せる方は少ないと思われます。その導線が無ければ、無闇やたらに高額転売や高品質アップロードに回るだけなので、私は如何かと思います。
その行きすぎた行為の施しにも、SOFT BALLETのYouTube公式チャンネルは必要とは訴えていますが、さて。
SOFT BALLET関連の掲載アーカイブについては、もっともっと記事がある筈なのですけどね。ちょっと振り返りながらとコメントを。
・ライブ・イクイップメント'89(キーボード・マガジン1989年12月号)
デビュー即露出が広まった頃のセッティングですね。MIDIで本当に出来ていたのだなとひとしおに。
・ライブ・イクイップメント'91(キーボード・マガジン1992年1月号)
愛と平和ツアー後半の記事ですね。写真の通りアルバム「愛と平和」にはヤマハのSYシリーズがスポンサーに入ったので、がっつりサウンドシステムの中核です。アルバム曲中の「AFTER IMAGES」のピアノ音色はSYサウンドそのものですしね。
また愛と平和前半札幌ツアーでもがっちりSY99が使用され(ツアーではSY77に見えたのですが…)、藤井氏はかなりご機嫌なのか、マスターキーボードSY99二台スタンドを破壊してはライブ終わらずに帰って行きました。いや貴重でした。
・『MILLION MIRRORS』(本誌1992年11月号)
掲載当時は、シーケンサーのperformerとvisionがどうやったら同期するのか、皆悩ましげに思った筈。現在のシーケンサーLiveのAbleton Linkの様に簡単には到達不可能な驚愕記事です。
・『INCUBATE』(本誌1994年1月号)
ビジュアルが当時唐突に変わった印象が強くて、CDは買えどやや遠のいていた時期。
アーカイブ記事は何故にこの差し障り無い記事選んだのかなと思いつつ、最後に藤井氏森岡氏の若者らしい夢を語る部分が切に泣けます。
・『FORM』(本誌1995年6月号)
サウンドトリートメントは藤井氏が主体でブリストルサウンドの趣きに。日本国内でも出来るものなのですね。Massive Attackでもプレイヤー招いてのサンプル再構築はまだだったのに先端行ってましたね。
しかし、藤井氏のブリストルの対面に、森岡氏のIDM(当時のサウンド面はまだエレクトロニカ初期の趣き)が有り、その方向性は藤井氏の青盤「FORM」と森岡氏の赤盤「FORMs」としてリリースされ見え隠れします。そうですよね解散ツアー中に発売された二枚組ベストアルバム「SOFT BALLET」青盤そして赤より黄盤はここの轍を踏んだものと感慨深いですよね。
そもそも森岡氏のIDMは本当かも有りましょうけど。
実は解散後に寺田倉庫のPLAIDのクラブイベントで森岡氏と何度もすれ違いました。森岡さん、こっちの方ならそれを早く言って下さいですけどね。今となってはクラブイベントだったので、フランクに「PLAID好きなんですか?」とも聞いて良かったかなと。えい、出来るかそんな真似。
・『SYMBIONT』(本誌2002年12月号)
FORM解散ツアーは完全燃焼どころかまだまだ出来るだろうだったので、再結成は何れでしたけど、早かったなの印象ですね。
刮目すべきは、2002年の段階でハードディスクレコーダーがライブセッティングに使用されている事。この時代のハードディスクは今以上に不安定でも有り、それでも敢えて挑んでいたのかとも。
・『愛と平和』回想インタビュー(本誌2006年4月号)
「愛と平和」の記事は、レコーディング当時のビクターのスタジオ風景のものがある筈なのですけど…ああでもキーボードスペシャルかなとも思ったりで。でもサンレコの筈ですけど、回顧録よりその名盤「愛と平和」に至った新鮮な記事の方が良かったのではとも。
・平沢進 × 藤井麻輝(本誌1993年6月号)
どういう経緯だったか、平沢進とSOFT BALLETの共演ビデオは録画してはかなり見ていました。対談記事見て改めて見たいなと思いつつどこかにテープは行ったままであるし。そこはyouxxxxにあるでしょうですけど。何時迄も非公式動画がのさばる状況はメンバーの美学としても察して余り有りです。
SOFT BALLETの現所属レーベルがソニーならば公式チャンネル整備して欲しい限りです。これ幾度と無く言ってますね。
・『DEVIATION FROM SYSTEM』(本誌1996年4月号)
『DEVIATION FROM SYSTEM』の再掲載なんて、もうねサンレコはしっかりツボ押さえていますよ。この藤井氏の論理再構築で、当時の私の音楽制作プログラムが激変したか。今読んでも新鮮に思える筈です。
そうですね、過去のサンレコの雑誌は嵩張るので大方捨てました。ただ気になった記事だけ切り取っては保管書類箱に入れています。何れはスキャナー通して電子化と思ってましたけど、スキャンする時間が無くてそのままに。
だからこそ特装版のSOFT BALLET特集完全版を希望しているのですけどね。その含みがあってこその敢えて絞りに絞った特集記事になってると察します。ですがタイムラインを傍目で見るも完全版の声も聞かないので、そこはファンが出入りしての30周年の時間の流れなのかなとも。
後はサンレコとキーボードマガジンと掲載されていない記事としては、以下に。
・PPG WAVE愛:デビューそこそこの記事で、藤井さんがPPG WAVEと他メーカーシンセの購入で、変えがたいPPG WAVE愛が微笑ましくも。ヴァージョンに関しても言及していた様な。
・FORMライブPA:サンレコ定番のホールセッティング記事に、解散ツアーのPA廻りの紹介記事があった筈。SOFT BALLETのライブのサウンドシステムに関してはここで初出しだったと思います。ここ印象薄いので推定で。
・SYシリーズのモニター:キーボードマガジンに1ページ位だったと思いますけど、ヤマハの開発者を交えて時期的にはSY99のモニター座談会が載っていました。森岡氏は倍音が素晴らしい、藤井氏は内臓のエフェクトでも十分の率直の感想。アルバム「愛と平和」でも活躍したらしいです。
・モダンXXとの対談:藤井氏と元奥さんの愛しい過ぎる記事。これ以上は自粛。
・藤井氏のレビュー記事:解散後のShe-Shell時代の頃に、3ヶ月に1度はサンレコにレビュー記事が掲載されており、成る程こういう解釈なのだなと実に参考になりました。
もっとあるかも知れないけど、取り敢えずここまで。中には廃刊されたライバル誌キーボードスペシャルの記事であるかも知れないし…そこは何れ特装版が発売され、アーカイブ記事完全掲載ともなればかなりすっきりするのですけどね。
そして特集最後の藤井麻輝と遠藤遼一のインタビューですよね。1ページずつは少ないと皆さんお思いでしょうけど、30周年がただの通過点なら、このボリュームで充分と私も何とか納得させます。
藤井さんのインタビューは、もっとSOFT BALLETと現代の音楽シーンEDMとのクロスオーバーをどう考えてるか聞いても良かったと思いますけど、そこはminus(-)のツインドラムによる人力EDMでも体現されていますし。まあEDMのエレメンツの倍音大混雑も終わりに向かっていますから、その後の音楽シーンはどうしてもSOFT BALLETとして動かざる得ないかもと期待を込めて願っておきます。
遠藤さんのインタビューは、何を置いても「ライブはレコーディングの褒美のようなもの」に尽きますね。
SOFT BALLET当時のレコーディング状況は、藤井さんも森岡さんも別のスタジオでしたので、連携がかなり取りずらいなと察して禁じ得ません。詩を引いては曲をそしてアルバムの世界観を構築するのに苦慮して、ボーカリストとしての表現は遠藤さんの中ではやはり充分では無かったと思われます。その本来として表現に溢れに余りあるのがライブの熱唱です。
確かにライブは褒美ですよね。熱狂的なSOFT BALLETファン程ライブ派が多いの自然の成り行き。
巷には遠藤さんどうしたの声は多いのも事実ですけど、遠藤さんがより深く没入出来る音楽制作環境が出来ないとです。そこはファンであるならば温かく見守りましょう。ここ必ずです。
そして封入のBODY TO BODY 30th Anniversary RemixesのCDですが、まだ聞いていません。
新しいmacbook airのセッティングがぼちぼちも有り、積極的に聞かなくてはの思いも腰が重いので、いずれですね。恐らくCDには、この先のSOFT BALLETの指針が盛り込まれているでしょうから、ここは特集の余韻がやや空けた頃に聞きたいと思います。
そして最後に、三人表紙のSOFT BALLETのサブタイトル「異端で在り続けたエレクトロニック・バンド」ですけど、何に酔いしれているか分からないサブタイトルです。真摯な掲載記事を読んでも、何ら異端など微塵も無く求道しか感じません。
その時代時代で、通常のバンドでは到底追いつく事も出来ない洗練されたパフォーマンスが異端で括られるのは、私の遺憾の意で終わらせて貰います。
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