傷んだ革靴には…
かとも
傷んだ革靴には…
叔父の葬儀の連絡をいただいた時のお話です。
普段は仕事でもスニーカーなのですが、展示会や営業先への挨拶など、ネクタイをしなければいけない時は、一足だけある革靴を履きます。
たまにしか使わないし、まめに手入れもしていません。
すす汚れて、あちこち擦り切れた靴を見て、
「なんとかせねば!」 という事態に。
この時、私は、閃きました!!
「擦りキズには、キズグスリだ!」
「確か旅行カバンの奥に、ずいぶん昔に使用期限の切れたメンソレータムが入れたままになっていたはず!」
と思い出し、靴磨きに使ってみる事にいたしました。
まず、剥げたところを黒マジックでちょいちょい。
で、いざ、メンソレータム塗って磨いてみると、ちょっとした撥水効果もあるみたいで、いい感じに磨けています。
これなら、厳粛なお葬式に履いて行っても、失礼にはならないでしょう。
元来、人間の皮膚に塗るものだし、皮革に塗ったって大差あるまいと。
もしかしたら、傷付いたところが、治るかもしれません。
以来、その使用期限の切れたメンソレータムは、旅行カバンの奥から下駄箱へと移動し、重宝して使っていたのでした。
ところがその年末の大掃除、妻が下駄箱を掃除しはじめ、それを発見、
「何でこんなところに、メンソレータム? 誰が置きっぱなし?」
そこで、メンソレータムの素晴らしい効果を説明したのだけれど、
「何、言うてるん!」
と、説明の途中で、あっさり、粗大ごみへ。
(缶容器だったけれど、中にまだ少し残っているのでビン・カンには入れなかったようです)
「いったいオレは、これから、どうやって靴を磨けばええんや!!!」
と、嘆いていると、
「ちゃんとした、靴クリームを買ったらええやん」 と。
… … … おっしゃる通りです…
傷んだ革靴には… かとも @katomomomo
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