第2話 事情とお願い

「そう、冒険者じゃ」


意味わからんことをこのおじいさんが言うので、俺は話を変えることにした

「えっとおじいさんは誰ですか?」


そう質問するとおじいさんはムッとした表情になってこう返してくる

「人に名を聞くときは自分から名乗るのが礼儀じゃないか小僧!」


俺は今この瞬間に気づいた事がある、それは…このおじいさん扱いが凄くめんどくさいと言う事である

「えっと。俺は木ノ下英治と言います」


そう言うとおじいさんはいきなり自信満々な表情になり

「わしの名はゲレン!この町、グリスリラのギルド、鮮明団のギルドリーダーだ!ワァハッハッハッ!!」


《うん!予想どうりめんどくさい人だった♪》と心の中で呟く。

《まぁとりあえず拍手でもしとくか》

パチパチパチパチパチパチ!


「あなたがギルドリーダーさんだったんですね!まぁ初めて会った時からそんな予感してたんですけね!!」

と、言っておいた。

まぁこのおじいさんならすぐに…


「じゃろう?じゃろう?偉大なオーラが溢れているじゃろう?ワァハッハッハッ!!」

まぁ案の定予想どうりに煽てられてる


「はい!あなたが光を持ってこっちに向かってくる時から凄いオーラを感じてました!」

と、さらに煽ててみると…

「お前はわしの良さがわかっておるのう!決めた!」


どうやらおじいさんが何かを決めたらしい。

「何をお決めになられたのですか?」


そう俺が聞くと

「おぬし、いや英治よ、聞いてほしい事があるんじゃ」

聞いてやるだけならいいかと広い心で、返事を返す

「はい!お聞きいたしましょう!」


そうするとおじいさんは急に真面目な表情になり、口を開いた

「実は先月の末に王が亡くなられてな、王が不在のままではいけないと言う話になり、ついこの間まで王を決める選挙が行われていたんじゃ、そして一週間前に王が決まったんじゃ」


俺は口を開いた

「王が決まって良かったじゃないですか!」

そう言うとおじいさんが


「最後まで話を聞けい、その王、は昔この世を自分のものにしようとした最悪の人物、いわゆる魔王の子孫なんじゃよ」


そういうので俺は

「昔の話ならいいじゃないですか!それとも、今の王がその企みをまた実行しようとしているとでも言いたいんですか?」


そう俺が聞くと


「そうじゃ、勘がいいな。なぜそう言い切れるかと言うと最近魔獣の数とダンジョンの数が急激にふえたんじゃよ」


なぜそれだけで王のせいになるのだろうか、聞いてみた

「なぜ、それだけで王のせいということになるんですか?」


そう聞くとおじいさんは


「簡単な話じゃ、魔獣やダンジョンは昔、魔王がこの世界を征服する為に作ったからじゃ、そしてその魔獣やダンジョンを生成する方法を持っているのが子孫である王だからじゃよ」


なるほど、分からん。

まぁおじいさんの想像が少し混じってるのは確かなようだ

「なるほど!で、それを聞いて俺はどうしろと?」


そう問いかけると

「我らのギルドの中では王を討伐しようと計画を練っているんじゃが、圧倒的に戦力が足りないんじゃ。」


そういうので俺は試しに

「何人いるんですか?」

と聞いておくそうするとおじいさんの答えは

「ざっと500人ぐらいじゃ」

という。


《……確実に戦力足りてるよね?むしろ王様涙目だよね?1人対500人て、》

「それ、十分戦力足りてますよね?」


そう聞くと

「それが王の前には7人の幹部が存在するんじゃ、しかも最近は冒険者になる人が少なくて若者が10人ぐらいで他が全員40歳を越しておるんじゃよ…」


《それは確かに勝てないな幹部を倒し終わったところで王を倒せるぐらい戦力も気力もないか》


「で、俺に冒険者になってくれないかと?」

「そうじゃ、なってはくれぬか?」


俺は考えた、どうせ嫌だって言っても日本には返してくれないんだろうし、第一、ここまで聞いておいて断るわけにはいかない。

そう考えた俺は決心の末

「じゃあ分かりました、冒険者にはなりましょう」


そういうとおじいさんは目をキラキラさせてこっちを見つめてくる


「ですが、タダでとはいきません、僕はあなた方の戦力に速くなれるようにしたい、ですのでなんか特殊能力だったり、凄い武器だったり、なかなかなれない職業だったり、そういうものをください。そしたら冒険者になりましょう」


そういうとおじいさんは

「お安い御用じゃ!では好きな職業を与えよう!それでいいか?」


《おぉ!マジか!本当にくれるだなんて!じゃあありがたく頂戴しちゃいましょう!!》

「はい!では強い職業を教えてください!」


そういうとおじいさんは

「では、ソードマスターなんてどうだ?」


《聞きなれない職業だな》

「どういう職業なんですか?」


そう聞くと

「ソードマスターはいわゆる剣士じゃ、でもただの剣士ではない!ソードマスターはレベル制限がある剣でもお構いなく使う事ができるという優れた職業じゃ!しかも加護により剣によるスピード低下をなくす事ができるんじゃ!どうじゃ?」

《おぉ!剣士か!いいねぇ!魔法とかも使いたいけど、まぁいいか!》


「じゃあその職業でお願いします!」


そういうとおじいさんが

「よしきた!じゃあこのカードを持ってなりたい職業をカードに言うんじゃ!」

そう言ってカードを渡してくれた

「よぉし!ソードマスター!」


そう言うとカードが光り出し俺の周りを魔方陣が現れ、俺の周りを回りだす

「なんですかこれ?!」


そうおじいさんに聞くと

「それは英治の情報を集めているんじゃ、少し待てい 」

「あの、魔方陣は俺の情報を集めて何がしたいんですか?」


そう俺がおじいさんに聞くとおじいさんは答える

「まぁ正しく言うと《魔方陣が》ではなく《カードが》じゃがな。カードが英治を調べている理由は簡単じゃ、ステータスを調べているんじゃよ」


《ステータスってのはあれか力とかが表示されるのか!きっと俺のステータスが高すぎておじいさんびっくりするんだろうな!》とか考えた


「ステータスはどのように分けられるのですか?」


俺はステータスについての疑問をおじいさんに聞く

「うむ。攻撃力、耐久力、知的力、防御力じゃな!これが高くても低くてもこの世界では絶対に冒険者から始まるんじゃ、でも英治はステータスが低くてもいきなりレベル1からソードマスターという上級職から始められるんじゃ!感謝せい!」

《感謝って(笑)仕方なく援助してあげるっていうのになんだよその態度は!》とか思ったがその感情は心にそっとしまっておくことにした。

そんなことを考えている内に調査は終わったみたいだ


「おっ!魔方陣が消えた!」


そう俺が言うと

「よしよし!終わったようじゃな!ポケットにカードは入っているはずじゃ!ステータスを確認したいから見せてくれ」

そうおじいさんに言われたので制服のズボンのポケットを探してみる

「あった!」


ズボンの右ポケットにカードは入っていたカードをおじいさんに渡した

「どれどれぇ……」

おじいさんはカードをまじまじと見つめる

「ステータスの限界、いわゆるマックスは100なんじゃが、英治は攻撃力20、耐久力30、知的力50、防御力20じゃな。これじゃ戦いの足しにもならん、なったとしても技能組のアシスタントぐらいじゃろう…」


そう言われた俺は

「俺は戦いたいんです!強くなりたいです!どうすればいいですか?!」


そう俺が聞くと

「簡単じゃ、クエストを受けてたくさんのスキルを覚えてレベルを上げればよい」

異世界ならではって感じだな

「分かりました。俺は強くなって必ずこのギルドに戻ってきます。」


そう俺が言うと

「分かった。では英治に何か武器を授けようではないか!」


《キタァーー!!ついに武器が貰えるんだ!どんなのかなぁ!》

「英治は日本から来たんだよな?」

「はい!俺は日本から送られました!」

「なら、この剣を…いや、刀を授けよう」

《刀かぁ、剣が良かったけどまぁ、いつか手に入るさ!》

「はい。ありがたく頂戴します!」


そういうとおじいさん…いやゲレンさんは

「刀はカードのストレージボックスに入れておくから使うときだけ取り出しなさい」

「そして、その刀で修行を積み王を倒せるレベル…レベル90になったらこのギルドに戻ってきなさい、いいな?」


《レベル90?!でも、まぁいいか!この世界を満喫して、平和にして、元の世界に戻るんだ》


「はい。速くお役に立てるよう努力します」


そう俺が言うと

「うむ。あ!そうじゃ!英治、この世界で木ノ下英治を名乗るのはやめなさい」

「何故ですか?」

「家名を持っていると色々厄介だからじゃ、だからこの世界では《エイジ》と名乗りなさい。」

「はい!分かりました!」

「うむ。では幸運を祈る」


そうゲレンがいうと俺はギルドの中へ転送された。





ここから俺の異世界ライフが始まる


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