新入生と幼馴染が仲が悪すぎるみたいなんだが

shiki

第1章

第1話 テニミュごっこの邪魔をしないで

「でたっ!!燕返し!!」


「トップスピンに対して超スライス。コレはバウンドせえへんのやろ?」


「バウンド前に返された!?」


 そんなこんなでいつものように部室で先輩とテニミュごっこをしている。


 俺の名前は小桜一朗太。4月で大学2年生になった文学研究部員でこの物語の主人公。


「いやー、一朗太の白石のモノマネはいつみても最高だなぁ」


「何いってんすか、先輩の合いの手があってこそですよ!」


 ガンガン!!!


 とドアを叩くというか殴るような音がした。


 ドアの方を振り向くといつものようにムスッとした顔で彼女が僕達の方をみている。


「毎度毎度うるさいんですけど。もう少し静かにできませんか!?」


 彼女の名前は芹沢ゆう子。僕の幼馴染で隣の部室の映画研究部に所属している。


「すみませーん、つい盛り上がっちゃって。てへぺろ♪」


 僕はいつものようにおどけてみせた。しかしそれが彼女の癇に障ったようで、


「何がてへぺろよ!!次やったらまじでぶっ飛ばすからね!!!」


 ドスッ

 

 次やったらぶっ飛ばすのではなかったのだろうか、僕はすでに彼女に肩を思いっきり殴られていた。


 芹沢のぎゃーぎゃーうるさい声が部室の中でこだましている。


 俺達のテニミュごっこより絶対お前の声のほうがくそうるさいと思うんだが。


 そんなこんなで一悶着していると、ガチャっと部室のドアが開く。


「こんにちはー、早速講義が休講になったので来たんですけどお取り込み中ですか?」


 あーあ、まためんどくさいやつがやってきた。


 こいつは部活動勧誘会で唯一入ってくれた新入生で名前は、矢作小梅。


 部活動勧誘会で出会って以来、芹沢となんでかずっと競り合っている。


「あー芹沢先輩いたんですね。胸がなさすぎて壁かと思いました!」


 いや、芹沢が壁に見えたなら壁と喋ってる俺もやばいだろ。


「あら、小梅さん。あなたこそ、そんな土偶みたいな身体でよく部室につまらないで入れましたね。」


 もうやめてくれよ、ただでさえ芹沢にキャンキャン怒られた後に女同士の争いを部室で起こさないでくれ。


 こいつらなんでもいいから早く帰ってくんねーかな。わいは先輩と早くテニミュごっこがしたいんや・・・。


 先輩たちは女達の争いにビビりすみっこで体育座りをしながら石のように固まっている。


 こいつらはなんで合う度会うたびにお互いを煽りまくってるんだよ。


 俺はそっと目をつむりヘッドホンで耳を塞いだ。目を開けたら争いが終わってますように。そう祈ることしか俺にはできなかった。

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