名探偵 アミメキリンの事件簿

三食 団子

名探偵 アミメキリンの事件簿

「遂に秘密結社セルリアンズに追い詰められた探偵ギロギロ・・・。もうダメかと思われたその瞬間、下を向いていたギロギロの目が・・・!」

「ゴクリ・・・」

「うぅ、ギロギロ・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・?先生、どうかしたんですか?」

「いや、おかしいな。確かに描いたはずなのに最後のページが見つからないんだ」

「な、そんなことが!?」

「あちゃー・・・。まぁもう一回描けばいい・・・」

「その必要はありません、先生!!」

「え?」

「この名探偵アミメキリンにお任せ下さい!必ずや犯人を見つけて見せます!!」

「おーい!まだ事件と決まったわけじゃあ・・・」

「キタキツネ!今から言う人を呼んでくるのよ!」

「なんでぼく・・・、アンラッキー・・・」


「という訳で集まってもらったわ!」

「全く、とんだとばっちりです」

「我々の食事の邪魔をした罪は重いのです」

「どうしてぼくが呼びに行かされたんだろう・・・」

「なになに~?なんか楽しいこと?」

「・・・ところで、どうしてかばんがいるのかしら?」

「サーバルちゃんだけじゃ心配なので・・・」

「む、まぁいいわ!では!!皆さんには証言をしてもらうわ!私の目をごまかせると思わないことね!!」

「気合入ってるねー、キリン!」

「当然だわ!先生の神聖な原稿を取り戻すのはファンであり名探偵の、この私なのよ!!」

「ところで、キリンさん。調査とかはしたんですか?こういうのって、普通何かしら調べてするものじゃあ・・・」

「ふっふっふ・・・。その辺は抜かりないわ、かばん。なぜなら今日の私は、安楽椅子探偵だからよ!!」

「あんらくいす?」

「なんでも事件を調査することもなく、話を聞いただけで解決してしまう探偵だそうよ。聞くどころか、関係者の私がその安楽椅子探偵をやればたちどころに事件は解決ね!!」

「・・・ところで、その知識はどこで手に入れたのですか?」

「先ほど先生が教えてくれたのよ!!」

「博士、これは・・・」

「そうですね、助手。料理が冷めることは避けられそうにないのです」

「その時はまたかばんに作ってもらうとしましょう」

「それは名案なのです。助手」

「ちょ、ちょっと!?」

「じゃあサーバル、あなたからよ」

「私は何も知らないよ~」

「偽の証言をしても無駄よ!あなたはこの中で最も怪しいわ!」

「え、えーーー!!?なんで?」

「それはね・・・」

「それは・・・?」

「あなたは・・・」

「ゴクリ・・・」


「あなたはヤギだからよ!!」

「違うよ!!」


「しらばっくれても無駄よ!昔から伝わる歌には、ヤギはよく手紙を食べたとあるの。ならば先生の原稿を見て魔が差した可能性が高いわ!!」

「そうじゃなくて、私はヤギじゃないよ!またここから始めるの!?」

「・・・というか、既にサーバルって言ってるのです」

「犯人のことばかり考えて色々見落としすぎです」

「ぐぐぅっ!?」

「お、いい表情いただきました♪」

「先生!?・・・じゃ、じゃあ博士、助手!あなたたちはどうかしら!?」

「探偵が『じゃあ』って言っちゃったのです・・・。でも我々にはそもそも理由が無いです」

「そのインクが美味しいというならまだしも、普通の原稿を盗む理由など無いのです」

「・・・!もしかして先生、そのインクがカレー味の可能性は!?」

「舐めてみる?」

「では失礼して・・・、苦い~~~!!」

「またまたいい表情♪」

「・・・そもそも我々はずっとカレーを食べていたのですよ、ねぇ助手?」

「はい、博士。我々はずっと一緒にかばんの料理を食べていました」

「むむむ・・・、これは白と認めるしかないわね・・・」

「やっぱり犯人なんていないんじゃあ・・・」

「そんなことないわ!あなたも立派な容疑者よ、キタキツネ!!」

「ぼ、ぼくぅ・・・?」

「その通り!私といっしょにここ最近先生の原稿をみていたわね?あなたの先生への抑えられない好意が今回の犯行を起こしたのよ!!」

「でもぼく、アミメキリンとオオカミせんせいと一緒にずっとここにいたよ?」

「ぐぐぬぅっ!!」

「・・・ラッキーさんは、何かわかりませんか?」

「ボクハ、コノカラダニナッテカラ、ジユウニウゴケナイカラネ。キホンテキニハ、カバントオナジコトシカ、シラナイヨ」

「そうですか・・・」

「・・・デモ、ボクノデータベースニハ、コンナコトバガアルヨ」

「どんなのですか?」

「『密室があるとき、そこには二つの可能性が存在する。それが密室であるか、密室でないかだ』ダヨ」

「それってつまり・・・」

「キホンニモドルノモ、タイセツダヨ。ヤクニタッタカナ」

「ボ、ボスの言うことも一理あるわね・・・。こうなったら、再度調査し直しね!!」

「安楽椅子探偵はどこにいったのですか」

「調査から帰ってまた座れば問題ないはずよ!!」

「・・・あれ、アミメキリンさんのお尻と椅子の間から何か落ちましたよ?」

「えっ!?」

「それってもしかして!!」

「・・・まさかの展開ではありますね」

「せ、先生の原稿・・・!!!」

「アミメキリン、ぼくを疑ったのに・・・」

「ぐぐぐぐぬぬぬぅ・・・」

「フフフ、またまたいい表情頂きました♪」

「せ、先生・・・。申し訳ありません、まさか知らない間に私が犯人に・・・」

「まぁまぁ、でも良かったよ」

「え?」

「ロッジでのキミは、自分の推理のミスを認めたりなんかしてなかっただろう?でも今日は、それぞれの証言から色々な可能性を導き出せた。それは成長だよ、とびっきりのね」

「せ、先生・・・。せんせぇーーー!!」

「お!今までで一番いい表情、もっと見せて!」

「・・・なんだかんだ、この二人も良いコンビだよね」

「オオカミさんも、少し意地の悪いところがあるかもしれないけどこんな風にいい人だしね」

「(・・・博士)」

「(なんですか、助手)」

「(タイリクオオカミがこの距離で気が付かないことがあるのでしょうか)」

「(まぁ、彼女の性格からして・・・)」


「なんだい、二人とも。私はいつだって『嘘』はつかないよ?」


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