第197話 時を繋ぐ道標
あれ、何してるのかな?
セルリアンの行動を見てオオウミガラスが私に聞いてくる。
安全なルートを通ってはいるが、完全にセルリアンを避けれる訳ではない。
今も曲がり角からセルリアンの様子を伺っている最中である。
今見てるセルリアンは片手を胸の前辺りに持ってきており、時折口があると思わしき場所に持っていっている。
確か、この近くにはアイスクリーム屋がある筈だ
おそらく、あれはアイスクリームを食べているのだろう。
食い物と聞いてオオウミガラスとクーちゃんが物凄い食い付いてきた。
どういう食べ物なのかと言えば、冷たくて甘くて滑らかで……
ズガァアアアアアアン!!!
まるで私の説明を遮るかのように遺跡地方の静寂を打ち砕くような炸裂音が響き渡る。
この音のせいでセルリアンの動きが変わったのをセルナが関知し、急いで物陰に隠れる。
隠れるのとほぼ同時くらいにセルリアン達が音の方向に向かって疾走して行く。
何が起きた?
私の呟きにヤマバクが反応する。
もしかしたら、探検隊が動き出したのかも知れません。
ジャパリパーク保安調査隊、略して(?)探検隊。
セントラルエリアを中心に、陸で繋がってるエリアを股に掛ける大きなセルリアンハンターの組織のようだ。
セントラルエリアの遺跡地方に異変が起きていると聞いて各地から続々とセルリアンハンター達が終結していると言う。
ヤマバクが始めに頼んだのはきっと探検隊だったのだろう。
探検隊としても未曾有の異変を前に迂闊に動くより、事前に情報を集めてから最大戦力で乗り込むつもりだったのかもしれない。
そして、先程の音はついに探検隊が動き出したと言うことなのだろう。
……この規模の異変に普通のフレンズ達だけで対抗できると思えない。
ゴコクの異変でも最終的には守護けもののイヌガミギョウブが大半の力を使い間接的に手を貸した事で終息した。
オイナリサマの救出を急がねばならない。
これ以上被害者が増える前に!
セルリアンの移動後を見計らって私達はパークセントラルへ急ぐ。
しかし、私達の行く手を阻むものが出現してしまった。
聳え立つ結晶の刺の壁。
まるでパークセントラルへの侵入を拒むように外周部を塞いでいる。
クーちゃんに見てもらっても剣山のような壁は数百メートルに渡って続いてた。
ここは時間は掛かるが一人一人クーちゃんに運んでもらうしかない。
私がクーちゃんに呼び掛けようとした瞬間に御守りが震えた。
何事かと御守りを取り出すと、御守りは淡く輝く虹色の粒子を出す。
今までにない現象に戸惑いながらも、風に漂う粒子を目で追うとその先には少女が佇んでいた。
フレンズではない人の少女だ。
しかし、その少女……いや、女性は見知らぬ存在と言う訳ではなかった。
その姿を見たのは写真の中。
古い古いデータの中に保存されていた画像と寸分違わない姿は私の良く知る人物の過去の姿だった。
背が低く、童顔のせいで若い時は中学生と間違われることが多々あったと、思い出話を聞かせてくれたその人は……
おばあちゃん……
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