第196話 夢幻に沈む街

 もう超巨大等と言う言葉では収まらない。

 一地方を飲み込もうとした姿は山脈にも匹敵しうる。


 そして、結晶に覆われた街並みの中には先程襲ってきたフレンズ型のセルリアンが徘徊していた。

 どうやら、あのフレンズ型のセルリアンは巨大なセルリアンから派生した分身と言う訳だ。


 あのフレンズ型のセルリアンは一体一体は非常に脆い。

 だが、脆さを補うが如く次から次へと湧いて出てくるのだと言う。


 フレンズを見付けると問答無用で襲い掛かってくるようなので、隠れて行動しなければならない。

 少しでも数を減らせないかと端でウロウロしているフレンズ型のセルリアンを少し倒してみたのだが、まるで補充をするかのように結晶のヒビから這い出してくる。


 何度か繰り返している内にフレンズ型のセルリアンの法則性が見えてきた。


 フレンズ型のセルリアンは常に個体数が一定になるように産み出されている。

 産み出されるセルリアンは倒したセルリアンと同じ形状をしているので間違いはない筈だ。

 短期決戦でしか戦えない私達としては極力交戦は避けなければならない。


 そして、これはオオウミガラスが気が付いたことなのだが、フレンズ型のセルリアンの行動がまるでこの場で暮らしているようにしか見えない。

 ヤマバクの話と合わせて考えれば、このセルリアン達は夢の中でのフレンズ達の生活を再現しているのだろう。


 このセルリアン達に見付からずに通れるかもしれない。

 私はラッキービーストに地図を表示してもらう。


 ヤマバクの話が事実ならば夢の中のフレンズ達の文明レベルは人と大差ないだろう。

 公共施設や商店、アミューズメント施設や公園等の人が集まりそうな場所やそこに向かう動線を避ければ……


 よし!

 完成だ!


 安全なルートの構築は昔からやって来たことだ。

 久々に本職っぽいことを出来て大変満足である。


 これとセルナのセルリアンレーダーを組み合わせれば完璧だ。


 私達はパークセントラルに向けて遺跡地方に足を踏み入れる。


 硬質なセルリウムの結晶に覆われた遺跡地方は不気味なほど静寂に包まれている。

 今までのジャパリパークは何処にいても鳥や動物の声が聞こえていたが、ここではまるで聞こえてこない。


 近くで見るとセルリウムの結晶は不透明ではなく、僅かに透けている。


 また、時折結晶に反射して映る遺跡地方の景色が、別の場所を映しているかのように変化することもあった。

 良く見ようと覗き込むと煙のように消えてしまうので詳細は分からない。


 セルリウムの結晶に覆われた街並みを歩いていると、まるで知らない世界に迷い込んだような気分になる。


 歩いていると結晶の中に何人かの動物が閉じ込められているのを発見した。

 ヤマバクは結晶に触れて悲しそうな表情をしている。

 おそらく、この動物達は……

 救いは皆苦しんでいる様子はなく、穏やかな顔で眠っていることか。


 私達に立ち止まっている時間はない。

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