第48話 砂漠のガイド

 砂漠の旅も岩盤から砂地へと風景が様変わりする。

 意外なことに砂地の方が気温の寒暖差が激しいらしい。


 フタコブラクダによると昼間に砂漠で行動するフレンズは少なくて、夜になるまでずっと岩影などで休んでいるのだそうだ。


 砂漠では昼間に行動するフレンズの方が少ないと言うことか。


 フタコブラクダはそんな砂漠のフレンズではあるのだが、昼間に行動する昼行性のフレンズだ。

 昼行性なのに夜の旅に付き合わせて済まないと言うと、夜に行動するのは友達の関係で慣れてるから気にしないでと言われた。


 フタコブラクダは砂漠の名所を案内するガイドをやるのが夢らしい。

 しかし、周りは砂漠を熟知した砂漠の住人のみ。

 やり甲斐のなさを感じていた折りに、私達のような砂漠地方初心者が来て舞い上がっているようだ。


 フタコブラクダが案内する砂漠地方の名所。


 その1

 黒い石柱


 砂漠に聳え立つ謎の石柱。

 高さ約10メートル、何のために立てられたのか、古代のロマンを感じる砂漠のランドマークタワー。


 これはパンフレットには載ってなかった。


 材質は黒曜石と言ったところか。

 混じり気の少ないそれは夜の闇に溶け込んでしまうくらいに黒く、全体の形的に液体を固めて作ったような見た目である。

 溶岩が冷やされて形成されたのだろうか?


 しかし、私の知る限りでは溶岩が出そうな活火山の存在は確認できていない。

 かつての噴火で流出したものが、風化で削り出されたのだとしても風化の痕跡が見当たらない。

 これは形成されてから、それほど時間が経っていない証拠ではなかろうか?


 だが、人が作ったか問われれば、岩を溶かすレベルの高温で熱して、ここにタワーを作る施設があったとは思えない。


 考えれば考えるだけ、ここにそれがあることの違和感が増していく、不自然な自然物だ。


 黒い石柱は昼間に見ると表面にうっすら虹色の光沢が浮かぶようで、大変綺麗らしい。

 まぁ、機会があれば見に来よう。


 この砂漠には少なくとも季節はあるようだし、冬になれば多少はマシになる筈だ。


 ふと、季節の話になってフタコブラクダが何やら奇妙な事を言い出した。


 この砂漠には幻の花畑が存在するのだと言う。


 この不毛な大地に花畑が?


 オアシスの近くならば多少の植物はあるだろうが、花畑と呼べるくらいに咲き乱れるだろうか?


 オオウミガラスが何処にあるのー?とフタコブラクダに聞くが、フタコブラクダは秘密と言って教えてくれない。

 取って置きの名所だから自分で案内したいのだそうだ。


 それと幻と言うからには多少条件があるらしく、今年はまだ現れるかどうか分からないらしい。


 ふと、頭の中にサンドローズと言うバラの花に酷似した姿の鉱石が思い浮かんだが、流石にそれはないか。

 消えたり現れたりする理由の説明が着かない。


 実際に見てみないことには幻の花畑の謎は解明できそうにないか。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る