日記外その6 飛行機とビーバー
「ういしょ、うーいしょっと……ふー、材料運ぶだけでも一苦労ー。今度は壊れないように念入りにーっと」
彼女の名前はヨーロッパビーバー。
現在、増水によって崩れてしまったダムの一部を補修している最中である。
「終わったー!やったー!」
と、喜んでいるのも束の間。
ヨーロッパビーバーの後方から大きな影が近付いてきていた。
「おーい!ビーバーくん!」
呼ばれて振り替えると何か大きな鳥のような何かがヨーロッパビーバーの目の前に迫ってきていた。
「うわああああ!!あっ」
じゃぽんと思わず後ずさったヨーロッパビーバーが池の中へ落下する。
「大丈夫?」
「ぷは!いきなり驚かすのはダメだよ。ブクブク」
ヨーロッパビーバーは水辺で暮らしているフレンズなので、水に落ちたくらいでは何ともない。
「やー、ゴメンゴメン急いでたからついね」
ヨーロッパビーバーを驚かせた犯人はハクトウワシ、タカ、ハヤブサの猛禽類トリオだった。
その猛禽類トリオは何やら見慣れない大きな鳥みたいな物を持ってきた。
「それ何?」
「これは『じんりきひこうき』って言う物だ。これを使えば空を飛べないフレンズでも自由に空を飛ぶことが出来るんだ!!」
「ハクトウワシ、自由は言い過ぎよ」
胸を張って高らかに誇張して言うハクトウワシにタカが冷静にツッコミを入れる。
「と、言うわけで急いで沢山作ってね!」
「ハヤブサは話を省くな!もういい!私が説明するわ」
比較的まともなタカが一からヨーロッパビーバーにスカイレースのこと、空を飛べないフレンズが参加する為に人力飛行機が沢山必要なこと、それを作ってもらう為にここへ来たと簡潔に説明した。
「事情は分かったよ。でも、こんな材料見たことない。この材料の強さで強度出してる……木材で代用するにしても……うーん」
「出来そう?」
「形が変わるかも知れないけど良いかな?」
「飛べるならどんな形でも構わない!」
「おっけー。じゃ、始めるよっと」
ヨーロッパビーバーが自作の人力飛行機を作り始める。
「そう言えば、これ誰が作ったの?」
「あ、私としたことが……何のフレンズか聞き損ねてしまったわ」
「ゴリラのフレンズなんじゃないか?」
「ゴリラさん、意外と器用なんだ。今度、巣作り手伝ってもらおうかなー」
「結構前から作っていなかったか?」
「しっくり来るものがないんだよ。参考に出来るものがあればなー」
動物の頃に作ったような巣では今の身体の大きさではしっくり来ないのだろう。
ヨーロッパビーバーの巣作りはまだまだ難航しそうである。
その後、何度も試行錯誤を重ねて新たな協力者を募り人力飛行機の量産にこぎ着けるのはまだまだ先の話である。
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