日記外その5 カラスと探索者
「や、やっと見付けたよ」
セグロジャッカルは体に付いた大量の枝や木葉を払おうともせずにぐったりとした様子で帽子をハシブトガラスに差し出した。
「大手柄でございます!これで例の物への手掛かりがまた一つ集まりました」
「まぁ、喜んでいるところ悪いんだけど、それって何なの?」
「これはかつてジャパリパークを纏めていた『ぱーくがいど』と呼ばれていた存在が身に付けていたとされる帽子なのです。『ぱーくがいど』にはフレンズ達が入れない場所にも入れたのだそうです」
「もしかして、『ゆうえんち』にある開かない扉とか?」
「その通りでございます!そう言う訳でセグロジャッカルは『ゆうえんち』に向かってください」
「『ゆうえんち』か……ちょっと遠いかな。少し休んでからでも良い?」
「仕方ありません。あなたには頑張ってもらっていましたからね」
セグロジャッカルは座り心地が良さそうなふわふわな大きな椅子に座ってから、ふと今日の出来事で印象に残ったことを思い出した。
「この場所にヒトってけものがオオウミガラスと一緒に向かってるよ」
「何かの間違いでは?ヒトはずっと昔にジャパリパークから居なくなったままですよ」
「あっそうか。そう言えばししょさんが前にも言ってたっけ?でも、本人はヒトだって言ってるよ」
「ふむ、それは直接あって確かめなければいけませんね」
ハシブトガラスはセグロジャッカルから受け取った帽子をコレクションが並べられている部屋へ持っていった。
ハシブトガラスは並べられたコレクションの一つを手に取り、セグロジャッカルへ持っていった。
「何それ?」
「これは水筒です」
「『すいとう』?」
「かつてヒトが作った物の一つで中に水を入れる事が出来ます」
「どうやって?」
「ここを回すと……」
ハシブトガラスが水筒の蓋を回すと蓋が外れて中が空洞になっていることが確認できた。
「すごーい!ししょさんって物知りなんだね!」
「当然でございます。何しろ日夜ヒトの遺物の研究をしていますからね」
ハシブトガラスは誇らしげに胸を張る。
「それは差し上げます。今後の探索に役立ててください」
ハシブトガラスはセグロジャッカルに自分の大切なコレクションの一つである水筒を手渡した。
「良いの?ありがとう!」
「ただし、貴重な物なのでなくさないでくださいね。なくしたら怒りますよ」
「分かったよ。じゃあ、あたしはそろそろ行くね」
セグロジャッカルは水筒を手に取って立ち上がる。
「最近、大型のセルリアンが良く目撃されているそうなので道中気を付けてください。これが異変が起きる予兆でなければ良いのですが……」
「なら、尚更急がないとだね。じゃあ、あたしは行ってくるよ」
セグロジャッカルは『ゆうえんち』に向けて旅立って行った。
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