日記外その3 シマリスと狩りごっこ
「おーい!」
謎のフレンズはシマリスを見付けて草原のセルリアンが居なくなったことを伝えるために走って駆け寄る。
「あっ!狩りごっこですねっ!負けませんよっ!」
シマリスは狩りごっこと勘違いして謎のフレンズから逃走を始めた。
「な、何!」
「アハハハハ!!こっちですよっ!!」
シマリスと謎のフレンズは木々の間を縫うように森林の中を駆けて行く。
「わ、私の!話を!」
シマリスと謎のフレンズの距離は一向に縮まずに一定の距離を保ったままだ。
「……なるほど」
シマリスは滅茶苦茶に走り回っているようで、実は決まったルートをグルグル回っているだけだった。
それに気が付いた謎のフレンズは道を外れた。
「あれ?」
背後に謎のフレンズが追い掛けて来ないことに気が付いたシマリスは立ち止まった。
シマリスが尻尾をフリフリとさせながら周囲を警戒していると突然背後からガバッと襲われる。
「……捕まえた」
「捕まっちゃいましたっ!アハハハハ!!とっても楽しかったです!」
「……鬼ごっこは懲り懲りだ」
謎のフレンズはシマリスを解放して改めて向き直る。
「……貴女は、リスのフレンズ?」
「シマリスですっ!」
「……そうか。実は貴女に伝えたい事がある」
その後、謎のフレンズはシマリスに草原のセルリアンが居なくなったことを伝える。
「じゃあ、草原のセルリアンはもう居ないんですねっ!」
「……そうだ。貴女も戻ると良い」
「あっ!私、草原じゃなくて森林に暮らしてるんです」
「……そ、そうなのか」
散々苦労して追い回した相手がセルリアンの事を伝えたい草原に住むフレンズじゃなくて少々がっかりした様子。
「草原に住んでた子達が困っていたから私も早速知らせますっ!」
「……ありがとう」
「では、去らばです!」
シマリスはそう言うと警戒な足取りで、森林の中を歩いて行った。
「あっ!ニホンリスさん!」
ニホンリスはビクッと肩を震わせて背後を振り返った。
「み、見ましたか?」
「見てないですよっ!ところで今度は何を埋めたんですか?」
「見てるじゃないですか!」
「アハハ!ニホンリスさんの小枝コレクションなんて誰も盗りませんよっ!」
「中身も知られちゃってます!?」
アワアワしているニホンリスに対してケラケラ笑うシマリス。
「そう言えば、草原のセルリアン居なくなったみたいですよっ!」
「居なくなったんですか。良かったです。ところで、草原のセルリアンは誰が倒したんでしょうか?」
「え?」
そう言えばシマリスはセルリアンが居なくなったことは聞いたが、誰が倒したかは聞いていなかった。
ハンターが来るにしてはまだ早過ぎるし、飢えて消えるにも早過ぎる。
他の誰かと言う事になるのだが……
「あっ!きっとあのフレンズさんですねっ!強そうな見た目してましたから!」
「何のフレンズさんですか?」
「耳も尻尾もなくて毛も黒っぽいからきっとゴリラさんですよ!」
こうして謎のフレンズに関する誤解は徐々に広がって行くのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます