元ヤンですけど異世界で魔法少女やらされてます (ドラゴン討伐編)

750cc

第1話 いつもの朝から

「…………、ん」


 常宿にしている宿の部屋で、いつものように目が覚める。

くはぁ~っと伸びをし目をゴシゴシ。

今日は何しようかなぁと思いながら、とりあえず着替えて朝食をとりに行く事にする。


「おばちゃん、はよ~」


「ああ、キラちゃん。お早う」


「朝食だいじょうぶ?」


「ああ、大丈夫だよ。テーブルについて待っときな」


「うん」


 おばちゃんに言われた通りにテーブルにつき、まだ覚めやらぬ頭でボーっとしているとおばちゃんが朝食を持ってきてくれる。


「はいおまたせ」


「ん、あんがと」


 ロールパンひとつとサラダとミルク。これがアタシのいつもの朝食。少ないか多いか人それぞれだけど、アタシはこれで十分。

 まあ元の世界じゃ朝食なんてまともに取ったことなかったしね、朝食をきちんと食べてるこの世界での生活の方が健康的なのかな?朝食は大事っていうし。


 そう、アタシはこの世界の元からの住人じゃない。

えーっと、なんだっけ?異世界召喚ってヤツ?

アタシはそれに巻き込まれてこの世界に来たんだ。


 中学の時に散々荒れてたアタシなんだけど、なんかもういいやって思ってそれまでやってたことをすっぱり止めて、もうちょっとマシな人生送ろうと高校入学から心機一転。

 所謂高校デビューってやつ?それをしようと思って高校の入学式に向かってる最中に、その異世界召喚ってヤツに巻き込まれたってワケ。

 実際アタシは何が起こったのかさっぱりわからなかったんだけど、この世界の神様ってのにそんな話を聞かされてなんとかわかったんだけどね。

 なんでもこの世界のどっかの国で勇者召喚ってのをやって、それに巻き込まれたんだって。ほんといい迷惑だよねぇ。

 アタシは国に召喚される前に神様に引っ張ってもらって、別の所に送ってもらったんだけどね。まあ勇者とか興味ないし、そういう点では神様に感謝だね。

 感謝はしてるんだけどねぇ。


 そういえばこっちの世界に来てから結構たつなあ、とか思いながら1人のんびり朝食を食べてると。


「あ、キラさんいた」


 となんかアタシを呼ぶ声がする。

そっちを見ると、…えーっと誰だっけ?


「キラさん最近全然ギルドに来ないじゃないですか」


 そうそう、冒険者ギルドの受付のミリーちゃんだ。


「ん、アタシに何か用?」


「ギルドマスターが探してましたよ?最近キラは来てないのかって」


「特に今は依頼とか受ける必要ないし」


「そうかも知れませんけどたまには来てくださいよ。結構依頼とかたまってきてるんですから」


「えぇー、ダルいからイヤ」


「ダルいって」


「それにアタシってたかがCランクだよ?他の人にまかせりゃいいじゃん」


「それはそうなんですけど」


「でしょ?」


「まあそれは置いておいて、キラさんに頼みたい事があるってギルドマスターが言ってましたんで、今日はギルドに来てください」


「ギルマスが?」


「そうです」


「他の人じゃダメなの?ザックさんとかリアナさんとか」


「う~ん、キラさんに頼みたいって言ってましたよ」


「そっかー」


「とりあえず今日はギルドに来てくださいね」


「ん、わかった」


 そうミリーちゃんに返事をすると、ミリーちゃんはパタパタと宿を出て行った。

忙しそうだなミリーちゃん。


 ギルマスから頼み事かあ、なんだろ?

ふ~む、と考えながら朝食の残りを片付けてたらおばちゃんがやってきた。


「キラちゃん、ミリーちゃんなんだって?」


「なんかねぇ、ギルマスが頼みたい事があるんだって」


 どうしようかなぁ、行きたくないけどギルマスの頼み事なら行かなきゃマズイし。

とかウジウジ考えてるアタシをおばちゃんはニコニコしながら見てた。


「でどうすんだいキラちゃん」


「……はぁ。今日はギルドに行ってきます」


「いってらっしゃい」


 ホントは行きたくないんだけどね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る