遊園地でどったんばったんらんちきさわぎ

@nutaunagi1205

第1話

「かばんちゃん… わたし… また先走っちゃったみたい…」


どうして… どうしてこんなことに…


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「博士…!これは…!」

「うむ、間違いないのです。これは、“ぶらんでー”なのです!」


ここは遊園地。『巨大セルリアン倒せた&かばん何の動物か分かっておめでとうパーティー』の準備の真っ最中です。


「へぇー ぶらんでーっていうのぉ。飲み物、なのかなぁ?」


のんびりした口調で尋ねるのはアルパカ・スリ。パーティに使用する食器などを探してジャパリカフェの倉庫を漁っていた所、茶色い液体の入った謎の大瓶を見つけたのでした。


「うむ。これは“おさけ”の一種で飲むと楽しい気持ちになれるそうです。また、百薬の長とも呼ばれ、とても身体に良いのです」

「です。そしておさけはめでたい席では欠かせない存在だったということです。しかもこのぶらんでーは紅茶との相性が抜群だということです。じゅるり。」


「あらぁー!じゃあ今日の紅茶にたっぷり入れて配ろうねぇ!」


___かくしてパンドラの箱は開かれたのです


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私は作家のタイリクオオカミ。今日は遊園地で“どきゅめんたりー漫画”の為の取材を行おうと思う。

「何をモタモタしているのです。はやくするのです。」

「はいはい、ところで博士はどうしたんだいミミちゃん」

「博士は隠れてぶらんでーをチョイチョイしたらしく、フニャフニャになってスヤスヤなのです。それと助手をつけるのです。」

「はは、おかたいねえ。」


フニャフニャの博士。それは是非とも描き残したかったなぁ。惜しいことをした。


事の次第はこうだ。私は遊園地でいい表情かおを見せてくれる皆をスケッチしていたらすっかり紙を消費してしまった。そこで、一旦ロッジに紙を取りに行き、戻ってきたところ皆が“フニャフニャ”になっていたのだ。


唯一フニャフニャになっていなかったミミちゃん助手に聞けば、“あるこーる”の所為らしい。アルパカが勝手に紅茶に入れたとの事だが、「ふむ、ここまでとは… 興味深いのです…」などと助手がぶつぶつ呟いていたので恐らく差金はこの人だろう。


そして、助手により“どきゅめんたりー漫画”の作成が命じられたわけだ。まぁ、そんな事言われずとも私もこんな面白い機会を逃すつもりはなかったけどね。


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「さて、取材対象を探すのです」

「うん。ん?あれは…」

(____たーのしー!あははははは!!!)

「聞きなれた声がしますね… とりあえず行ってみるのです」


「あははははは!!!たぁぁああああぁぁのぉしいいいぃぃぃ!!!!」

「わはははは!!!!たーのしー!!!!」


そこにはコツメカワウソの両足を掴んで高速回転するジャガーがいた。いつもの落ち着いた彼女は何処にもいない。ジャガーの全力で振り回されるGは想像するに恐ろしいものがあるが、それでもカワウソは満面の笑顔だ。


「…カワウソはいつも通りですね。」

「ふふ、二人とも楽しいそうだ。いい表情かおいただ「あっ」

「えっ?」


顔を上げた私の視界に飛び込んできたのはカワウソの満面の笑顔だった。あんな情熱的で強烈なキッスを味わうことはもうないだろう。


「さて次に行きましょう。それにしてもあの強烈なあの頭突きでも紙とペンを手放さないとは大した根性です」

「ふ、ふふふ、漫画家の命だからね。しかし目の中でサンドスターが散ったようだったよ。この体験は漫画に活かせそうだ」

「…言い換えましょう。呆れた根性なのです」


駄弁りながら歩いていると、また声が聞こえてきた。


(___まつでありまーす!)(___ひゃあああああ!)


「あれは、ビーバーとプレーリーのようですね。こちらへ向かって来るのです」

「ビーバーが全力でプレーリーから逃げているね」


「ひゃあああああああ!!!助けてくれっすぅぅううう!!!」

「待つでありまぁぁあああす!穴を!ビーバー殿の「はい、ここまでなのです。あとは製品版を購入してほしいのです。」

「げふぅ!」

プレーリードッグの腹に食い込むミミちゃん助手の拳。夜の猛禽は名は伊達ではない。プレーリーは堪らず白目を剥いて昏倒した。


「どうして止めたんだい助手?せっかくいい絵が描けそうだったのに」

「ダメなのです。これ以上は見せられないと私のゴーストが囁くのです。サンプル版なのです。『泥酔!野獣と化したプレーリー』なのです」


何を言っているか分からないがとにかく駄目らしい。残念だ。仕方なく次のターゲットを探す事にする。


「お、あそこにアライさんとフェネックが」

「ダメです」

「え?またかい?とりあえず行ってみようよ」

「ダメです。どうやらあるこーるは羞恥心や理性もフニャフニャにしてしまうようなのです。アライさんは可哀想ですがフェネックヤツは危険すぎるのです。必要な犠牲なのです。」

「えぇー」ズルズル


遠くから(のだーっ!)という悲鳴が聞こえた気がするが私達はその場を後にした。アライさんは犠牲になったのだ。


「やはりあるこーるは危険な物質ですね… 規制すべきなのです…」

「そうかい?みんな楽しそうじゃないか」

「お前の目は節穴ですか。まぁ見ている分には愉快ですが…」


忍びよる巨大な影に二人は気づかなかった…


「おーっす!飲んでるぅー!」ガシッ

「わはははは!元気がないぞ!わはははははは!!」ガシッ


「ライオン…ヘラジカ… 嫌な予感しかしないのです」

「奇遇だね。私もだ」


___いえいいのです、喉は乾いてないので うぶぶぶ

___いや、遠慮しておくよ「私の紅茶が飲めないというのか!」ってえぇ… ちょっ うぶぶぶ


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「サーバルちゃん… どうして… どうしてこんなことに…」

「ヴっ ごめんね オェッ わたし先ばしっちゃ… オボロロロロロロロロロロロロロ」

「サーバルちゃん、お酒はほどほどに… オボロロロロロロロロロロロロロ」

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